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高齢で一人暮らしの親をもつ世代にとって、久しぶりに親元を訪ねて互いの無事を確かめ合う年末年始は、ひときわ安全・安心な暮らしについての会話を深める機会になります。
また、年末年始は、犯罪面での懸念要素が強い時節でもあります。本記事では、特に年末年始に気をつけたい高齢者の安全対策について、防犯の観点から具体的なポイントを解説するとともに、セコムが提供する安全対策の実施事例も併せてご紹介します。
なぜ年末年始が狙われやすいの?
犯罪は、人々の認知や心理、行動パターンに乗じる形で行われます。狙われやすい状況にはいくつかの共通パターンがあり、年末年始はその傾向が顕著に表れます。行事も多く、コロナ禍で人と会う機会が減っている中でも、日常とは異なる人の動きが多くなり、狙われやすい状況が続きます。
まとまった現金を家に置きやすい
12月は、お歳暮や年賀などのご挨拶も増えてお金が動きやすくなります。イベントや年越しの準備、お年玉の用意など現金を扱う機会も多くなり、まとまったお金を引き出して手元に置いておきたくなる時期です。
また最近はマイナンバーと金融機関口座との紐付けが話題になり、タンス預金を考える傾向がみられます。高齢者ほど現金に安心感を覚え、家の中にまとめて置きがちです。年末年始の高齢者の自宅は犯罪者にとって、まさに「狙い目」だといえるでしょう。
行動パターンが似やすい
季節のイベントがあると人々の習慣も同じ行動パターンになりがちです。年末年始は特に、クリスマスや年越し、初詣などのイベントが多く、コロナ禍であっても特定の日時に外出する人が増えます。また年末年始の休暇を使った旅行や帰省など、長期で家を空ける機会も増える時期です。
行動が読めると犯行も簡単になります。留守を狙って住宅に侵入する空き巣はその典型といえるでしょう。闇に紛れる深夜だけではありません。空き巣は昼間でも、通勤時やゴミ出し、買い物、そして特定のイベント日などで人々が同じような外出パターンをとりやすい日中もリスクの高い時間帯です。
人混みができやすい
大勢が同じ行動習慣をもつと、特定の日・時間や場所に人が集中し、混雑するようになります。人混みができるとひったくりやスリの被害が多発します。歳末の大売り出しや初売り、初詣や十日戎などの行事、帰省ラッシュを迎えた駅など、年末年始は人混みができやすく、狙われる機会が激増します。
また、飲食を伴う行事や祭事も多く、酩酊状態で判断力が鈍ったり、満腹で眠気がきたりと歩行者に隙が増えます。極端な状態までいかないまでも、楽しいイベントでは気持ちが高揚して行動が甘くなりがちで、狙われる可能性も高まります。
どんな狙われ方をするの?
では、実際にどのような犯罪に遭いやすくなるのでしょうか。ここからは、年末年始に被害が大きくなりやすい「侵入窃盗」を中心に、「ひったくり・スリ」や「特殊詐欺」にも触れながら、犯行の特徴をみていきましょう。
侵入窃盗
侵入窃盗とは、建物に侵入して金品を盗む犯罪を指します。侵入窃盗のうち一般住宅を狙う「住宅対象侵入窃盗」には、留守のときに侵入する「空き巣」、就寝中に侵入する「忍込み」、在宅中のちょっとした隙に侵入する「居空(いあ)き」があります。警視庁の統計(令和2年)から傾向をみると、最も被害が多いのは1月です。
出典:警視庁の統計(令和2年)
第43表「窃盗手口別認知件数(月別及び時間帯別)」よりグラフ作成
警察庁の統計によると、2020年の住宅対象侵入窃盗の認知件数は2万件余りでした。1日当たり約57件発生しています。手口は「空き巣」が最も多く、住宅対象侵入窃盗の3分の2近くにのぼります。
出典:警察庁 令和2年の犯罪 8窃盗 手口別 認知の端緒別認知件数よりグラフ作成
また、被害に遭いやすいのは一戸建て住宅、次いで低階層の共同住宅が狙われやすくなっています。犯行の手口で多いのは施錠開けとガラス破りですが、それより多いのが無締り、つまり鍵のかけ忘れ箇所からの侵入です。ポストの中などに置いた合鍵で入られてしまうケースも考えられます。不注意によるリスクは極力避けたいところです。
出典:警察庁 令和2年の犯罪 18 侵入窃盗発生場所別侵入口・侵入手段別認知件数
(分類により合計値が異なる)
ひったくり・スリ
次に、ひったくりやスリの被害をみていきましょう。警察庁の2020年の統計によると、ひったくりに遭うのはほとんどが女性で、特に60歳以上の高齢女性が圧倒的に多くなっています。60歳以上の人がひったくり被害に遭うのは10時から15時が最も多く、次いで16時から19時と、日中から夕方にかけての時間帯が狙われやすくなっています。
グラフ出典:警察庁 令和2年の犯罪 犯罪の概況
ひったくりやスリでは、かばんの持ち方や服装などが現金や財布を奪いやすい状態になっていると被害に遭う確率を高めます。年末年始はふだんより多くの現金を持ちやすいため、次のようなポイントに注意して改善を図りましょう。
- かばんの蓋やファスナーをしっかりしめる
- かばんは斜めがけにし、上からコートを着る
- かばんは自分の前に持ってくる
- かばんを車道側に持ってこないようにする
- コートのボタンは閉める
- 自転車のかごにひったくり防止ネットをつける
- 明るくて人の目が多いところを通る
- 金融機関でお金をおろしたときは、周りに不審な人物がいないか確かめる
特殊詐欺
年末年始は普段連絡してこない人から久しぶりの電話を受けやすい時期でもあります。特殊詐欺の電話でうっかりと勘違いしないように気をつけたいところです。
慌てると正しい判断ができなくなりますから、冷静になるためすぐに返事をせず一旦電話を切ります。相手が言った番号やリダイヤルの機能を使わず、自分が登録した番号や調べ直した番号へ連絡して内容を確認する癖をつけましょう。
例えば、次のような状況を告げる電話は、まず詐欺を疑う必要があります。電話口のメモの横にチェックリストにしておき、聞き取りながら確認して該当した場合はすぐに電話を切るなど、手順を決めておくことをおすすめします。
- お金や重要書類を入れたかばんを失くして困っている
- 携帯を落としたなどの理由で電話番号が変わった
- 風邪を引いたため声が変わった
- 今日中にお金を用意できないとたいへんなことになる
- お金を用意しないと訴訟を起こす
- ATMから還付金などを払い戻せる
- いますぐ手続きしないと間に合わないため、ATMで操作する必要がある
- 自分は動けないため、代わりのものがお金や通帳・カードを取りに行く
- 官公庁や公的機関を名乗る
事前に設定しておきたい防止対策
ここからは、侵入窃盗に対して普段から行いたい防止策をみていきましょう。侵入犯が狙いやすい次の要素を意識し、侵入を諦めさせる環境をつくりだすのがポイントです。
- 留守であることが容易にわかる
- 3階までの低階層
- 無施錠の窓がある
- 破りやすいガラス、解錠しやすい鍵になっている
- 死角となる場所に窓がある
- 高い塀や垣根などに囲まれて中の様子を知られにくい
侵入する気を失わせる対策
まずは、そもそも侵入する気を起こさせない状態にしておくことが重要です。見通しがよくきちんと整理された建物周りだと、屋内への侵入経路や逃走経路が確保しづらくなるため、狙う気を失わせることができます。また、侵入に手間がかかる演出も効果的です。次のような状況をチェックし、整備しやすいところから改善していきましょう。
- 2階への足場になりそうな脚立、物置、自転車、エアコン室外機などの置き場所を変える
- 警備会社などの防犯ステッカー、監視カメラなどを外から確認できるように設置する
- 外出時は窓を閉める(高窓などであっても必ず閉める)
- 植木の手入れをきちんと行う
- ゴミや廃材などを出しっぱなしにしない
- ベランダに目隠しを置かず、見通しの良い状態にする
- ガレージにシャッターをつける
外出する際には、屋内に誰か残っていると思わせる方法が効果的です。次のような対策で不在を悟られないよう工夫しましょう。
- 大きな荷物を持って出かける必要がある場合は予め宅配便などで送付する
- 誰も残っていなくても「行ってきます」と挨拶して出かける
- タイマーで自動的に照明のオン/オフができるしかけを設定する
- 長期の不在時は、新聞は販売店に、郵便物は郵便局に、配達を停止する届け出を出す。その際、特に新聞販売店の掲示板に住所と名前を不用意に記載しておかないよう注意を促しましょう。
- 外出が夜間に及ぶ場合は洗濯物を部屋に干す
- 留守番電話を設定せず携帯電話へ転送させる
侵入者が不在確認によく用いる手口に、インターホンを鳴らす方法があります。外出してしまうとチャイムで呼ばれてからの対処は難しいため、呼び鈴を鳴らしづらい環境をつくるのがポイントです。インターホンを録画機能付きにし、インターホンの近くに防犯カメラを設置することでインターホンに近づきにくくなります。
侵入させない・諦めさせる対策
仮に侵入を試みたとしても諦めて退却させるには、犯行に時間がかかる状況をつくることがいちばんのポイントといえます。
侵入時間をかせぐ対策としては、施錠が最も効果的です。ドア、窓、門扉、物置、ガレージのシャッターなど、すべての戸締まりを行いましょう。特に気をつけたいのが浴室やトイレ、階段の踊り場、2・3階の窓の閉め忘れです。
さらに解錠に時間がかかるようにする対策が、補助錠やチェーンで2カ所以上に鍵をかけるツーロックです。また、ガラス破りをしづらくするため、防犯ガラスにする、防犯フィルムを貼るなどの対策も効果があります。
多額の現金・有価書類、貴金属などの貴重品は金庫に入れて施錠しましょう。家庭用の金庫は店舗に比べると小型で、破壊や持ち去りの被害に遭いやすくなります。金庫は床に固定して簡単には運べない状態をつくりましょう。
光や音を出して監視があることを示す対策も有効です。屋外の照明をセンサー方式にし、何かが通ると明るくなるようにする、地面に防犯用の砂利を敷いて歩くと音が響くようにする、ガラスに衝撃を加えると大きな音が出る装置を設置するなど、気配を察知したらすばやく知らせるしかけをつくりましょう。
地域の連携
地域の人に見られた、声をかけられたなど、地域の監視の目も強力な犯行の抑止力になります。地域全体の統一感があり、清掃が行き届いているなど整った街並みは、犯罪を地域ごと遠ざけることができます。普段から積極的に声をかけあって次のような対策を行い、防犯意識が高い地域と思わせましょう。
- 挨拶を活発にする
- 通りに共通の花を植えるなど街を挙げての活動が活発であることを示す
- 不審者情報や逮捕情報などを掲示し、警戒の目が行き届いていることを示す
- ゴミ出しの徹底など、整理整頓され、地域としての協力体制が強いことを示す
- 違法駐車、違法駐輪をなくし整然とした通りにする
監視・記録・非常時対応のしくみづくり
侵入犯は顔を覚えられるのを嫌がりますから、防犯カメラは設置するだけでも抑止力があります。ドアや窓の付近、駐車場など、侵入・逃走経路になりやすい場所に設置しておきましょう。録画があれば万一侵入された場合の証拠にもなります。
また、外出後の状況を遠隔で監視し、通報できるホームセキュリティのセットも有効です。万一の場合に駆けつけて確認してくれる人も用意したいところです。専門のセキュリティ会社に駆けつけ対応してもらえるサービスを利用するとより安心でしょう。
ホームセキュリティ導入者の声(こんな安全、あんな安心)
ここまで様々な防犯対策をみてきましたが、やはり万一のときに専門のセキュリティ会社の対策や、万一のときに専門員が駆けつけてくれるのは心強いものです。
ここからは、セコムのシステムを実際に導入された方のお話をみていきましょう。
まとめ
年末年始は、家族が集まり、改めて家の中を見渡しながら安全対策を話題にできる、年に一度のチャンスです。
親御さまがご自身の家でいきいきとした生活を長く続けるために、安全・安心な生活環境を支援するセコム・ホームセキュリティの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくはセコムのWebサイトをご覧ください
https://www.secom.co.jp/homesecurity/plan/seniorparents/