そもそも茶道とは?

茶道とは、心身を落ちつかせて亭主がお客にお茶を振舞っておもてなしをする儀式のことです。

ただお茶を味わうだけでなく、おもてなし精神やわびさびの心得を学べる日本の伝統文化でもあります。お茶だけでなく庭や茶室などの空間、使われる道具まで芸術要素が含まれていることから、国内外で高い人気があるのも茶道の特徴です。

茶道では、約3m四方の小さな部屋である茶室で亭主が「お点前(おてまえ)」とよばれるお茶を点てる作法でお客をもてなします。

茶道の歴史

お茶が日本で広まったのは、鎌倉時代に栄西という僧が日本に中国の茶を持ち込んだのがきっかけとされています。

室町時代には、村田珠光という僧侶が禅の精神性を組み込んだ「侘茶(わびちゃ)」を考案します。侘茶では、小さく簡素で落ちついた茶室で茶会が行われるのが特徴です。

その後、茶人として有名な千利休が茶道を現在の原型となる形式へと発展させました。

お茶会の流れ

茶道に興味を持った方は、流れをチェックしてからお茶会に参加するのがおすすめです。

お茶会の流れは以下の通りです。

  1. 待合:茶室に入る前の準備をします。お客が別室で着物に着替えて身支度をしたり、亭主とのあいさつをしたり、「蹲(つくばい)」という石製の手洗い場で手と口を清めたりします。
  2. 席入り:身をかがめて小さな入口から茶室に入ります。掛け軸や花、炉、釜を拝見した後に亭主とあいさつを交わすのも特徴です。
  3. 初座:自分の席に正座します。炭火がおこされ、香合を拝見した後に懐石やお菓子をいただきます。
  4. 中立:庭を拝見しつつ休息がとられます。
  5. 後座:初座と同じ場所に座ります。1つの大きめな茶碗で人数分の茶が練られ、3人ほどのお客で回し飲みがされます。1回目に振舞われる茶は、濃度があり苦味の強い「濃茶(こいちゃ)」です。なお、このときに亭主との問答ができるのは先頭に座る「正客(しょうきゃく)」のみです。最後に亭主が薄茶を点て、お客は水分の少ない和菓子である「お干菓子」をいただきます。薄茶とは、泡立てられたまろやかな風味のお茶のことです。薄茶は1人1つの抹茶椀で振舞われます。お茶を味わった後は道具に関しての問答が行われます。
  6. 退席:亭主と客全員が正座でお辞儀をする「主客総礼」が行われ、道具を拝見した後に茶室から退室します。最後に亭主とお客が全員礼をして解散になります。

多くの流れがあり、順序よくこなせるか不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、大切なのはお茶を楽しむことです。亭主とお客の思いが通じ合い、お互いが楽しめたのであれば、そのお茶会はよいものであったといえるでしょう。

茶道の楽しみ方は?

こちらでは、茶道を楽しむためのポイントをご紹介します。

  • お軸と花を拝見する
  • 道具を拝見する
  • お点前を拝見する
  • お茶とお菓子をいただく
  • 茶入れと茶杓を拝見する

それぞれ詳しく解説します。

お軸と花を拝見する

茶室に入って最初に拝見するのが、掛物や花入などが飾られる場所である「お床」です。

こちらではまず掛け軸に注目しましょう。掛け軸には何が書かれているか、軸にはどのような色味や模様が使われているか見て楽しみます。

書かれている意味がわからない場合は、筆跡をじっくりと眺めてみるのがおすすめです。意味は亭主との会話の中で知れることが大半です。

花入れには季節の花が入れられているケースが多いため、時期によって異なった趣が感じられます。また、花入れ自体にも趣向が凝らされていることが多いので、柄や素材、色合いを眺めてみましょう。

道具を拝見する

お茶会で利用される道具には、亭主のこだわりや想いが込められていることがあります。釜や炉、水差し、水炊、茶杓、茶入、お香などお茶会でしか見られない道具が備わっているため、1つ1つ注目して見てみましょう。

お客にとって特に身近なお茶碗は、亭主の趣向が込められていることが多い傾向にあります。そのため、形や大きさ、柄、色合い、質感などをよく観察してみるのがおすすめです。

亭主との会話の中で道具の作者や詳細について知ると、道具に対してより一層興味深く感じるはずです。

お点前を拝見する

お点前とは、抹茶を点てる一連の所作を指します。

お辞儀から足運び、手や指、道具の位置、所作ごとの速度に注目してみましょう。亭主が自分のためにお茶を点ててくれることに感謝を忘れず、1つ1つの所作や時間そのものを楽しむのがおすすめです。

お茶とお菓子を味わう

お茶はお菓子からは、色や香り、味を楽しむのがおすすめです。

まずはお茶の色を眺めてみましょう。粉の状態からお湯を加えた状態、点てた状態でそれぞれ色味が異なります。色だけでなく質感が変わることにも注目しましょう。

抹茶の開封時やお湯が注がれるとき、お茶が点てられているときの抹茶の香りも茶道の醍醐味の1つです。普段のお茶とはひと味違う特有な香りをご堪能あれ。

お茶は味の強さとまろやかさ、うま味、ほろ苦さの塩梅に注目していただきましょう。お茶を味わいながら、普段飲んでいるお茶とどう違うのか考えてみるのもおもしろいかもしれません。

お菓子はお茶の前にいただくのが一般的です。お菓子によっていただき方が異なるため、あらかじめ食べ方を確認するのがおすすめです。