―順天堂大学大学院に在学中、櫻井先生は自律神経の名医・小林弘幸教授のもとで研究していたと伺いました。
はい。小林先生は自律神経研究の第一人者であり、一般の方にも自律神経の大切さを広めた素晴らしい方です。私は骨盤調整を土台としたボディワークを教える活動をしていたので、小林先生のご指導のもと、ストレッチや呼吸法が自律神経に与える影響についての研究を始めました。
―櫻井先生は骨盤調整の他に、スムージーに関する本も出版されていらっしゃいますよね。
そうですね。美容と健康の維持のためには、体の内側と外側からのケアが重要で、それらを医学的に検証したいと思い、大学院の門を叩きました。最初はストレッチなどの運動が健康にもたらす効果について調べていましたが、博士課程に進んだタイミングで、体の内側のケアに関する研究も始めたんです。体によいと言われるものを実際に自分で食べてみて血糖値を測ったり、いろいろな食品の展示会に足を運んだりして、健康食品として利用できる素材を探しました。
―その頃に、現在の研究テーマである「タキシフォリン」と出合ったのでしょうか。
はい。たまたま足を運んだ食品の展示会で、シベリアのタキシフォリンを輸入・販売しているDHQ社の土屋さんに出会ったんです。土屋さんから聞いたお話や、タキシフォリンに関する論文を読み漁っているうちに、タキシフォリンが美と健康に貢献する本当に素晴らしい素材だと知って「これはすごい!これこそ今みんなが摂るべき成分なのではないか!?」と、感動しちゃったんですね。
写真右が株式会社DHQの土屋さん。世界最大のタキシフォリンメーカー「アメチス社」と独占輸入契約を締結しています。
―タキシフォリンはシベリアに自生するカラマツに含有される成分ですが、初めは安全性の面を心配されていたそうですね。
タキシフォリンを口に入れて良いものなのか、まだ認知されていない新しい成分だったので最初は不安でした。研究室で「タキシフォリンを研究テーマにする」と宣言した時も、先生方から「安全性は大丈夫なのか?」という言葉が返ってきていましたから。
―それでもタキシフォリンの研究に踏み切った理由はなんでしょうか。
安全性の判断基準になったのは、DHQ社が輸入しているタキシフォリンが、世界で唯一、国際的な安全認証である米国の「GRAS(グラス)」認証とEUの「Novel Food(ノベルフード)」認証の両方を取得しているタキシフォリンだということでした。実はこの2つを兼ね備えた食品は非常に珍しく、このタキシフォリンの安全性の高さを証明しています。安心して研究を進めることができました。
―タキシフォリンは、東北大学の名誉教授や国立循環器病研究センターの医師も賞賛しておられました。櫻井先生はタキシフォリンのどこに興味を持たれましたか。
まず、タキシフォリンは単なるフラボノイドの一種というだけではなく、「アルツハイマー型認知症への予防・改善効果」のエビデンスがあること。また、多くの人がかかると言われる三大疾病や、シミやしわ、たるみなどの肌の老化現象を引き起こす根本原因にアプローチできることから、健康づくりとアンチエイジングの万能薬になる可能性があることに興味が湧きました。
―老化のスピードを抑える効果が強いということでしょうか。
肌も身体の衰えも、老化現象です。なぜそんなことが起こるのかというと、老化の根本原因には「慢性炎症」が関係しているんですね。炎症には「急性炎症」と「慢性炎症」がありますが、最近の医師や研究者の多くは、この慢性炎症を問題視している傾向にあるんです。
―「急性炎症」と「慢性炎症」の違いを教えてください。
急性炎症の場合、例えば蚊に刺されると、赤みや腫れなどの自然免疫反応(炎症)によって回復に向かいます。これは治る過程で必要な炎症反応なのですが、慢性炎症は低レベルの炎症が長期間持続して慢性化してしまった状態を指します。これが悪さをして、老化の促進や、さまざまな疾患を生み出す要因になることがわかっています。つまり、「慢性炎症」を引き起こさないために予防することが、若々しい身体を保つためのポイントになるということです。
―慢性炎症はなぜ起こるのでしょうか。
内臓脂肪が蓄積した状態で心血管疾患危険因子が重積した病態を「メタボリックシンドローム」と言いますが、これは単に太っているのがダメという話ではなく、内臓周囲の脂肪細胞が肥大化していることが問題なんですね。肥大化すればするほど脂肪細胞から炎症物質がどんどん分泌され、全身を巡って、体内に留まり続けることによって、「慢性炎症」の状態を引き起こします。この慢性炎症を抑えてくれる効果が、タキシフォリンにはあります。これまで注目されてきた様々な健康食品のように、老化の原因としてよく挙げられる「酸化」や「糖化」を抑えるだけでなく、遺伝子発現レベルで炎症を抑制するのがタキシフォリンのすごいところです。
―櫻井先生の論文がアメリカの医学雑誌「Advances in Pharmacology & Clinical Trials(薬理学と臨床試験の進歩)」に掲載されました。具体的な研究内容を教えてください。
簡潔にお伝えすると、内臓脂肪細胞に対するタキシフォリンの作用についての研究成果をまとめたものです。実験を繰り返す中で、先ほども申しましたように、脂肪細胞が分泌する炎症物質をタキシフォリンが抑えてくれることがわかりました。もっと言うと、脂肪細胞は「前駆脂肪細胞」という細胞の性質が変化したものですが、タキシフォリンはこの前駆脂肪細胞が脂肪細胞になるのを抑えるという事実も明らかになりました。実は「脂肪細胞の炎症」をタキシフォリンが抑えてくれるかどうかは、誰も検証したことのない未知の領域でした。でもこの実験によって、タキシフォリンがメタボリックシンドロームの治療薬としての可能性があることを、初めて示すことができたんです。
医学情報誌に掲載された櫻井麻美先生の論文
「生理活性フラボノイド タキシフォリンは培養ヒト脂肪細胞の分化および炎症性サイトカイン インターロイキン-6の産生を抑制する」
―タキシフォリンが細胞の炎症を抑える効果は認められていましたが、「脂肪細胞」にもよい効果をもたらすことがわかったんですね。
はい。実は新型コロナウイルス感染症の流行中にタキシフォリンが注目されたのも、コロナウイルスにかかった後の「サインカインストーム」という過剰な炎症も抑える有効性が示されたからです。アメリカ人が日本人より重症化しやすいのは、太っている人が多く慢性炎症状態になっているからではないか、という話も出たくらいです。
―在学中の研究生活は多忙でしたか。
昼は仕事をして、夜は研究をするという生活を送っていたので、終電を逃すこともよくありましたね(笑)。でも私は医学部出身ではないし、“研究のための研究”にはあまり興味がないんです。私の研究が世間に認められて、「誰かの役に立って欲しい」という想いだけが、研究の原動力になっています。タキシフォリンはメタボリック症候群だけでなく、認知症の予防・改善効果も期待できます。美しくなって健康上の悩みも解決し、かつ脳の認知機能の低下も防げたらより楽しい人生を送れると思いますし、日本の高齢社会をこのタキシフォリンが救ってくれるんじゃないかなどと、思いを馳せています。
―櫻井先生ご自身は、タキシフォリンを摂られていますか。
飲んでいますよ。実は、タキシフォリンを中心にした、タキシフォリンの効果を最大限に引き出すためのビタミンやミネラルなどの成分を高配合した栄養機能食品を開発中です。今のところ、年内には皆様にお届けできる予定です。これまでスムージーのレシピを開発してきた知見を活かして、できるだけ飲みやすく、かつ人工甘味料などの余計な成分は入れずに、タキシフォリンの効果を高められる処方にこだわって試作を重ねています。美しく健康でありたいと願う全ての方に飲んで欲しいのですが、特にメタボリック症候群や認知症を気にされている方には、1歳でも若いうちに摂取していただきたい成分です。
―今後もタキシフォリンの研究は続けていかれますか。
もちろんです。あらゆる疾病や体の不調の原因となる脂肪細胞の炎症を抑制する効果が明らかになったので、次はシミやしわ、たるみなど、美容寄りの効果に着目した商品も皆様にお届けできたらいいなと思っています。
―最後に、読者にメッセージをお願いします。
私が皆さんに一番伝えたいのは、予防医学の大切さです。そしてタキシフォリンは、この予防医学推進の一助となる可能性をものすごく秘めているものであり、皆さんの今とこれからをハッピーにしてくれるものであると思っています。日本ではまだタキシフォリンの存在が十分に認知されていませんが、今後はきっと目に触れる機会も増えていくでしょう。さまざまな疾病や老化を防ぎたい方、いつまでも美しくいたい方は、ぜひタキシフォリンに注目してみてください。