美容や健康はもちろん、スポーツ選手やビジネスパーソンのパフォーマンスアップの鍵としても注目される「睡眠」。人生100年ラボでは、もともとご自身の経験も踏まえて、「寝る活」プロジェクトを推進する安部さんと共に、各分野の第一線で活躍するキーパーソンをゲストに迎えて、睡眠と健康について考えていきます。今回、ゲストとして登場いただくのは、会社員とモデルの二刀流で活躍する萩原七海さんです。
「寝る活」プロジェクト主宰 安部啓史さん
萩原七海さん
心と体のメンテナンスに欠かせない睡眠へのこだわり
安部:私は国内系と外資系金融機関に在籍していました。営業、財務や経理の業務も経験しながら、必死に働いていました。その後、合計3年間日本のアニメ商材をアジアで販売することになり、ちょうど「クールジャパン」が流行していたため、インドで挑戦しましたが、残念ながらさまざまな制度変更や輸出規制などもあり撤退してしまいました。その後、日本に帰国し、会社を売却して、その後はインバウンド関連の仕事をしています。私は昔から腸内が弱く、体調を崩しやすい状況でした。しかし、よくよく考えると、睡眠を十分に取っていなかったことに気づき、改善したいと考えるようになりました。現在は、その問題に取り組むための活動を続けています。
萩原:私は静岡県の出身で、海と山に囲まれて育ちました。もともと広い世界に興味があったので、大学では政治を専攻し、東南アジアの教育問題などを勉強していました。その傍ら、4年間教育支援のボランティアもやっていて、社会に非常に興味がある学生でした。そういった知識を活かして、生活に根付くものを仕事にしたいと思ってIT企業に入りました。最初はセキュリティ系の小さな会社に入ったのですが、その後もっと生活の基盤になるようなものを担当したいと思って、今の大手外資IT企業に勤めています。仕事の傍ら、自分の幅を広げて、今まで興味のあった社会活動などを広げていきたいと思い、昨年は世界的に有名なミスコンテストに参加しました。ありがたいことに、トップテンに選んでいただき、自分で発信していくような活動もしているところです。
―ちなみに安部さんはなぜ「寝る活」を始めたのですか?
安部:もともと腸が弱くて、この腸の弱さは何が原因だろうとずっと思っていました。実際、サプリを自分で作って飲んでみたところ、だいぶ改善してきたのです。そのとき、睡眠もよく取れるようになったんですね。ユーグレナと乳酸菌を含む成分を入れていて、すごくぐっすり眠れて朝の目覚めがいいということがわかって、なるべく早く寝るようにしました。コロナもあったので睡眠を取るようにしていました。もちろん運動もしていましたが、腸の弱さや体調がスッキリするというのは睡眠の影響があるのではないかと気づいたのです。深掘りをしていけばいくほど睡眠の重要性に気づき、「寝る活」だと認識するようになりました。萩原さんは、美容と健康を維持する上で睡眠をどのように捉えていますか?
萩原:睡眠はコンディションを維持する上で、欠かせないものと捉えています。私は普段から1日8時間眠れるように取り組んでいて、眠りの質もとても大事だと思っています。寝る前に漢方を飲んだり、ヒーリングミュージックを聞いたり、キャンドルを灯したりと、寝る環境にはこだわりを持っています。もう一つ大きな理由は、私はIT企業で営業職なので、かなり頭を使う日々です。脳を休めるためにも、何も考えない時間として、眠りを大切にしています。
睡眠が、日常のパフォーマンスを左右する。
安部:金融機関で過ごした30代は、超激務で残業や夜の接待で毎日の睡眠時間は、せいぜい4〜5時間くらいでした。土、日はゴルフに通っていたので、ほとんど休む暇はなかったですね。40代は起業して、インドと日本を行き来していたので睡眠どころではなかったです。寝たという感覚があまりなかったくらいです。
萩原:私も安部さんほどの激務ではないですが、一時期、多忙で十分な睡眠時間を取れない時期がありました。夜の11時くらいまで残業する日が続いたり。知らず知らずのうちに美容や健康面だけでなく、仕事のパフォーマンスにも影響があったと思います。
安部:その感覚はよくわかります。良い仕事をするために寝る間も惜しんで全力投球しているのに実はパフォーマンスが低下していたと。ちなみに萩原さんが睡眠を意識するようになったのは、いつ頃からですか。
萩原:前から意識はしていたのですが、美容とか本当に自分を休ませるという自分の意識はコンテストにでることがきっかけでここ1年ですね。
安部:萩原さんはモデルの仕事もされていますが、睡眠と美容の関係についてどう感じていますか?
萩原:睡眠は美容にとても重要だと感じています。十分な睡眠をとることで、肌のツヤが良くなったり、目の下のクマが軽減されたりします。また、睡眠不足だと肌荒れやむくみの原因にもなりますので、できるだけ規則正しい睡眠習慣を心がけています。特に撮影前の日は、早めに就寝して十分な睡眠時間を確保するようにしています。そうすることで、翌日の撮影でも生き生きとした表情を作ることができます。
安部:私も夜は決まった時間に最低7時間は寝るようにしています。また、寝る前にリラックスするための時間を設けています。例えば、ブルーライトを避けて読書やストレッチ、瞑想などを行っています。また、睡眠環境にも気を配っています。部屋の温度や湿度、光の調整などです。寝具にもこだわり、自分に合った枕や布団を選んでいます。さらに、食事や飲み物にも注意を払っています。夜遅くの食事や刺激物は控えめにし、カフェインの摂取時間にも気をつけています。これらの取り組みを続けることで、睡眠の質が向上し、翌日のパフォーマンスも上がっていると実感しています。
自分に合った「寝る活」の始め方
安部:ちなみに萩原さんは寝る環境についてどのようなことを意識していますか?
萩原:私は特に体を温めることを意識しています。冷え性の方も多いと思いますが、特に冬場は睡眠に影響するので、レッグウォーマーなどを使用しています。また、仕事で目を使うことが多いので、温かいアイマスクなども使用しています。お風呂については、出身地が温泉で有名なこともあり、1時間ほどゆっくり入ることもあります。リラックスした後は体を冷やさないよう気をつけています。以前は冷え性でしたが、食生活の改善である程度解消できました。現在はぽかぽかした状態で眠れています。
安部:私は、先ほどもお話ししたように睡眠の環境にもこだわっているのですが、それ以上に大切にしているのが、良い睡眠に向けた日常のルーティンなんです。まあ、色々と試してみたんですが、キックボクシング、ストレッチ、筋トレなど昼間に運動をしておくと、やっぱり睡眠の質が上がるんですよ。自分で動くのがしんどい時には、マッサージなんかでも効果がありますね。不思議と美容院に行った日なんかもよく眠れるんです。頭皮のマッサージやリラックス効果なのかもしれません。
萩原:確かに日中の適度の運動は大事ですね。他にも何かヒントになることはありますか。
安部:これは個人差があると思うんですが、私の場合は「寝る活」の目的の一つに「デトックス」があるので、老廃物の排出してくれる足裏シートや腸活に良いサプリメントなどを寝る前にとっています。そして起きたら、必ず常温の水を飲むことにしています。
萩原さんの場合は、ゆっくりお風呂に浸かって血流を良くするという方法を実践されていますが、運動、マッサージ、入浴に共通するのは血流を良くすることですね。
萩原:血行を良くしてカラダを温めることに共通点がありそうですね。
安部:「推し活」でも色々な「推し方」があるように「寝る活」へのアプローチも、それぞれのやり方があっていいと思うんです。何よりも大切なことは、まずは睡眠を意識すること。そして準備することだと思います。そのために運動から始めてもいいし、寝室の環境づくりから始めても構いません。
睡眠時間を確保する一流の仕事術
安部:萩原さんにご質問ですが、営業の仕事とモデル業を両立されていて、どうやって必要な睡眠時間を確保されているのですが。こなすべきタスクが沢山ある中でのタイムマネージメント術がものすごく気になります。
萩原:ありがとうございます。完全にお仕事とプライベートで分けるようにしています。お仕事は平日の勤務時間内にお仕事として片付けて、プライベートはプライベートとして休日に集中して、モデル活動とか、そういった外に出るような活動をしている感じですね。ある意味、中途半端に両方を引きずるような時間帯を作らないことで、限られた時間の中で最大限できることに集中できると思うんです。
安部:その限られた時間の中で、寝る間も惜しんで頑張るみたいなやり方にならないのは、なぜですか。
萩原:それは「睡眠」を何もできない時間ととらえるのではなく「睡眠」=自分のパフォーマンスを上げるための積極的な時間と捉えられるようになってから変わりました。
「寝る間が惜しい」のは、寝る時間が無駄な時間と捉えるからですよね。睡眠を変えることで、仕事の効率も上がるし、体調も良くなるし、美容にもプラスになると思えば、まずは「寝る活」時間を確保して、逆算するようにスケジュールを立てますよね。
安部:全く同感ですね。私が「寝る活」を世の中に広めたいと思う理由も、まさにそこにあります。大袈裟なようですが、「睡眠一つで、人生が変わる」と思っています。 私自身、寝る活によって、日常に好循環を生み出すことができました。
萩原:そうですね。そういうすごくいいサイクルで、タスクや課題をこなすことで、やりきったという達成感とか、ポジティブな感情を得られるんです。それの元になっているのは本当に睡眠で、元気でいられることがいいサイクルを生み出しています。
寝る活を通じて、社会課題解決に寄与したい
―今回、記事を掲載させていただくメディアのテーマは「社会課題解決」です。萩原さんも学生時代、そしてモデル活動のきっかけが社会課題解決への挑戦でもあったとお聞きしていますが、どのような社会課題意識から現在の活動につながったのですか。
萩原:大学では政治を専攻して、社会的課題解決に興味がありました。今回協力させていただいたのも、日本人のメンタルヘルスに関心があったからです。睡眠を通じて回復することの大切さを広めたいと思っています。
安部:具体的にどういうことを考えているのですか?教育を通じて社会的課題解決を達成したいという文脈でどのような分野に興味があるのでしょうか?
萩原:子どもたちのメンタルヘルス教育に特に興味があります。大学時代のボランティア活動で、傷ついた子どもたちを教えたり、メンタルケアをしたりしてきました。小さい頃からの自己肯定感を高めることがとても大切だと感じています。
安部:そうした問題意識や想いを発信する場として、モデル活動や世界的なコンテストを選んだということですか?
萩原:そうなんです。私の場合は、メディアに出たいとか芸能活動がしたいというよりは、自分がしてきたボランティアや教育制度についての考え方を共有したいという思いがありました。そのため、コンテストを発信のプラットフォームとして選びました。
安部:いわゆる社会起業家のような感じですね。ソーシャルアントレプレナーの一環として、社会的課題解決に取り組んでいるわけですね。
萩原:実は5つ下の妹がいるんですが、彼女は本当に社会起業家として活動していて、子どもたちに廃棄予定のコーヒー豆を使ってアートを教えたりしています。
安部:それは面白いですね。子供でも安全なコーヒー豆を使っているんですか?
萩原:はい、小さな子でも口に入っても大丈夫なコーヒー豆を使っています。絵の具より安全で、しかもサステナビリティにも配慮して。
安部:それは素晴らしいアイデアですね。妹さんの活動も興味深いです。どの世界でも大きなステージに立って、最高のパフォーマンスを発揮できる人には、やっぱり経験に基づいた芯のある考え方があるんですね。そこに睡眠も含めた準備というか、日常のルーティンがあってこそ、結果を出せるんだと思います。少し睡眠の話からは、逸れますが、私もこれまでの人生を振り返るとターニングポイントになるような「人生の選択」がいくつかありました。萩原さんが何かの決断や選択をするときに、どんなふうに自分と向き合い、答えを出してきましたか。
萩原:これは、ルーティンというか、私の家の近くに大きな橋があるんですが、その橋を散歩する時に大きな決断をいつもするんです。
安部:それはなぜ?いつも何か考え事をする時に、その橋を歩いてみるということですか?どちちが先なんですか?決断したいと思って橋に行くのか、それとも橋を渡っている時にいろいろ考えるようにしているのか。
萩原:前者かもしれないですね。ある程度決断に迷っている時、もう橋に走っていきます。この橋を外側に行って戻ってくるまでに決めようって決めています。このことは初めて誰かに話しました(笑)。
安部:最後の人生初公開のお話しまで、ありがとうございます。睡眠の問題は、社会課題解決の大きなテーマという萩原さんの視点はとても刺激になりました。私も目の前のパフォーマンス向上や美容、健康という観点を、より大きな視点から捉え、この活動を広げていきたいと考えています。
萩原:こちらこそ、ありがとうございました。