腰痛や肩こり、膝の痛み、関節痛などが辛い-そんな悩みを抱えていませんか?これらの問題を根本的に解決するためには、「ケガをしないカラダ作りが重要」と、株式会社R-bodyの鈴木岳.代表は言います。R-bodyは、これまで約1000人のトップアスリートのカラダづくりに貢献してきたアスレティックトレーナーのプロ集団。東京・大手町にある聖路加国際病院附属クリニック「聖路加メディローカス」の会員は、このR-body専属コンディショニングコーチによる運動プログラムを無制限で受けることができます。
前編となる本記事では、“ホンモノを身近に”を届けるR-bodyの理念やカラダを整えるというメソッドから、人生100年時代を健やかに生きるヒントを探ります。
トップアスリートに提供していたメソッドを全ての人に届けたい。
―R-bodyの主な事業内容を教えてください。
R-bodyは、医療と連携したコンディショニングサービスを提供しています。コンディショニングというのは、カラダの調子を整え、その状態を維持するために行うすべてのことを指します。例えば、十分な睡眠や健康的な食事を摂ることもそうですし、筋肉や骨、神経、関節といった運動器の部分にアプローチして、ケガをしにくいカラダ作りに励むこともコンディショニングの一つです。R-bodyは、この運動器の分野で、医療としっかり連携を取りながら包括的なコンディショニングサポートを行っています。
―2012年、聖路加メディローカス開院の際に運動分野でのサポート業務を任されたということでしょうか。
そうですね。当時、聖路加国際病院の院長先生がひどい肩こりをお持ちだったので、R-bodyでコンディショニングを受けていただいたら、肩こりがパチンと取れて「これは眉唾もんじゃない」と(笑)。そこから具体的なお話が進んでいきました。
聖路加メディローカスの院内に併設したトレーニングスペース
―もともとR-bodyはトップアスリートのカラダ作りをサポートしていたのですよね。
はい。もともとは、ケガをしたオリンピック選手やトップアスリートのカラダを復活させることが仕事です。でも僕らの想いは、「You are all athletes for life.」人はみな人生というフィールドに生きるアスリートです。「Enhance your life performance.ライフパフォーマンスを向上させる」というのが、皆さんに一番伝えたいメッセージです。そして、我々のバリュー(価値)は、“ホンモノを身近に”です。つまり、トップアスリートに提供していたメソッドを一般の方にも伝えていくことで、皆さんにライフパフォーマンスを高めて欲しいという想いがあります。
―アスリート向けのトレーニングと、一般の方へのトレーニングに違いはあるのでしょうか。
違いはありません。解剖学的にも人体の構造はみんな同じですから。ただアスリートは身体感覚に優れ、自分のカラダが商売道具です。そのためアスリートが行っているトレーニングは、最も理想的で本質的である可能性が高いと思っています。もちろん、筋肉量などのフィジカルレベルは全然違いますが、彼らもトレーニング以外の時間は普通の生活をしていますよね。運動をする・しないに関わらず、我々が提唱しているコンディショニングメソッドは全ての人々に通用するものです。
―なるほど。コンディショニングとは、生活の土台に関わるものなのですね。
その通りです。例えば人は自分の生活の質を向上させるために、生活の中に「習慣」を取り入れる方がいらっしゃいますよね。運動をなさる方もいらっしゃいますし、人によっては読書かもしれない。でも読書中に肩が凝って辛いとか、健康のために毎日20分歩こうと決めた人が、5分後に膝の痛みで歩けなくなってしまったら、その習慣が続かない。だから僕らは、「読書をしても肩が凝らないカラダをつくりましょう」とか「歩いても膝が痛くならないカラダを手に入れましょう」という提案をしています。これがコンディショニングです。
日常生活動作を評価する項目が「人間ドック」に含まれています。
―トレーニングメニューはどのような基準で決めていますか。
これは日本初の試みなのですが、聖路加メディローカスの人間ドックの中には「身体機能評価(S・O・A・P®︎)」という検査項目が含まれています。この検査では、日常動作のクセや姿勢、柔軟性などをチェック・評価して、複数の課題点を洗い出します。そして、個々の悩みを改善するための運動メニューを10種目ほど検討し、完全オーダーメイドのメニューを作成しています。なので、いつも皆さんには、人間ドックの途中で検査着から運動着に着替えてもらっています(笑)。
―医師とも相談しながら総合的に判断していくイメージでしょうか。
はい。人間ドックの結果を踏まえつつ、医師の方々と相談しながら、無理のない運動プログラムを考えます。通常、人間ドックは“カラダの内側の検査”であって、関節の動きや姿勢の正しさ、筋肉の正常な働きなどのいわゆる“カラダの外側の検査”はしません。三大疾病など重篤な病気を未然に防ぐ点において人間ドックは必要ですので、その中に運動器の検査も必要であることは研究結果で明らかになっています。
―利用者は何歳ぐらいの方が多いですか。
40代以降の働き盛りの方や、リタイアされて時間に余裕のある60代以降の方が多いですね。多くの方が「腰痛が治らない」「膝が痛い」「マッサージを受けても不調が改善しない」など、何かしらの不調を改善したいという目的で通われています。一般的なスポーツクラブでは、筋トレなどのハードなトレーニングをこなす人が多いですが、R-bodyは日常レベルのトレーニングメニューがほとんど。手ぶらでどこでもできるのが魅力の一つです。
―自宅でのトレーニングも可能なのでしょうか。
もちろんです。聖路加メディローカスへは週2回のペースで通っていただくことを推奨していますが、自宅用のメニューも用意しています。コロナ禍の今は、オンラインでのマンツーマン指導も行っています。
―正しいカラダの動かし方を学ぶ、というイメージでしょうか。
まさにその通りです。人間にはさまざまな動作パターンがあって、そのバリエーションが増えるほどケガはしにくいはずなのです。関節の動きは人それぞれ違うし、得意、不得意な動作パターンも違う。あらゆる動作パターンを理解して実践を積み重ねていけば、自然と正しいカラダの動かし方が身に付きます。特に、僕らは「全身動作」を重視しています。関節を複合的に運動させることで、不調が改善に向かう可能性も一気に高まります。
「健康寿命を延ばす」こと。僕らが目指す最終ゴールはまさにそこです。
―ゴルフなど趣味のパフォーマンスを上げたい場合でも問題ないでしょうか。
もちろんです。僕らはたくさんのアスリートにも関わってきましたので、運動のパフォーマンスを上げる目的でも全く問題ありません。
―健康寿命を延ばすという点においても効果的に感じますが、どうお考えですか。
僕らが目指しているのはまさにそこで、そのためにR-bodyのメソッドを伝えていると言っても過言ではありません。だからコンディショニングというのは、フィットネスとは違う領域なのです。「医療と連携を取りながらコンディショニングする」ということは、他にはないR-bodyの最大の特徴だと思っています。
―自分のカラダを理解して、より良いコンディションを維持することが大切なのですね。
そうですね。人生100年時代とよく言いますけれど、国は100年もサポートする体制がないことに気付いて欲しいです。人生を健やかに楽しく生きられるかどうかは自分次第。つまり、国や誰かが必ずしも助けてくれるわけではないのです。生涯アクティブに過ごしてゆくためにも、ぜひ今日からコンディショニングを習慣に取り入れていただきたいですね。