執筆者:末良 真里奈
vol.47
Six Senses Fort Barwara
皆さん、こんにちは。
前回に引き続き、今回もインドのホテルについてご紹介させていただきたいと思います。
「ピンク・シティ」の愛称で知られる、インド北西部ラジャスタン州の州都ジャイプールより、車で約3時間。
今回ご紹介するホテル「Six Senses Fort Barwara」に到着します。
Six Senses Fort Barwaraは、約700年の歴史を持つ城塞を再生した、唯一無二のラグジュアリーリゾート。
かつて王族が暮らした城塞を舞台に、歴史的な城壁や宮殿、寺院などを丁寧に修復。美しいアーチやドーム、当時の面影を残す装飾など、建物の随所から長い歴史を感じることができます。
10年以上にわたる修復を経て、2021年にホテルとしてオープン。歴史ある建築の美しさをそのままに、Six Sensesならではのウェルネスや洗練されたホスピタリティを融合させています。
まるで王族の時代へタイムスリップしたかのような感覚を味わえる、ラジャスタンならではの特別なホテルです。

到着すると、まず目に飛び込んでくる圧巻の建物に目を奪われます。
ロビーエリアへ近づくと、頭上からローズシャワーが降り注ぎ、続いて冷たいおしぼりが。
さらにロビーへ足を踏み入れると、「目を閉じてください」と促され、サンスクリット語の祈りの言葉が静かに響き始めました。
これは、到着時のウェルカム・リチュアルの一つ。
「Sarve Bhavantu Sukhinaḥ(サルヴェ・バヴァントゥ・スキナハ)」と呼ばれるシャンティ・マントラで、「すべての人々が幸せでありますように、健やかでありますように、幸せと繁栄に恵まれ、苦しみから解放されますように」という、すべての存在の幸福を願う普遍的な祈りなのだそうです。


お部屋まで案内していただく際に目にする館内も、息をのむほど魅力的。


全48室すべてがスイートという贅沢な造り。その中で今回私が滞在したのは、103㎡の「Aravali View Suite」。

リビングルームに足を踏み入れると、現代的にアレンジされたラジャスタン様式のインテリアが広がります。



そして、この美しい中庭。



お部屋の中に、自分だけのために用意されたような特別な空間。そして、そこから望む景色もまた格別。
ベッドルームからクローゼット、そしてその先にはバスルームへ。ゆったりとした空間がひと続きになっています。



バスタブも広く、ゆったりと足を伸ばしてくつろげる贅沢な造り。

ところどころに、遊び心が散りばめられています。


また、外にもシャワースペースが。

これまでのシックスセンシズの記事でもご紹介してきましたが、シックスセンシズは「プラスチックフリー」。つまり、館内のどこを探しても、プラスチックは一切使用していません。
もちろん、ラグジュアリーホテルではおなじみのアメニティ類にも、プラスチックは一切使用されていません。細部にまで、サステナビリティへのこだわりが感じられます。

それはもちろん、ウェルカムアメニティにもいえること。このように、プラスチックの代わりに木や紙を使用し、サステナブルな工夫が随所に施されています。

そしてこれは、インドの伝統的なスナック、ダール・ムリ。香ばしいパフドライスに豆やスパイスなどを合わせたもの。さらに、フルーツやナッツバーに加えて、総支配人からの心温まるお手紙まで。
そして、これを見てください!なんと、日本語で「ウェルカム」のメッセージが書かれていました。

こうしたちょっとした心遣いが、なんとも嬉しいものです。
そうそう、シックスセンシズには、「GEM(Guest Experience Maker)」という、ゲスト一人ひとりの特別な体験をつくるスタッフが必ずいます。
滞在中のさまざまなリクエストに応えてくれたり、その土地ならではの体験を提案してくれたり。シックスセンシズの滞在をより印象深いものにしてくれる、大切な存在です。
チェックイン時から、私のGEMが担当してくださいました。
シックスセンシズには専用のアプリがあり、そこでGEMとペアリングすることで、滞在中はいつでもメッセージのやり取りができます。ちょっとしたお願いや質問も、気軽にGEMに相談できるのがとても便利。
さらに、館内で開催されるアクティビティもアプリから随時チェックすることができ、その日の気分に合わせて参加したいものを選べます。
他のラグジュアリーホテルではあまり見かけることのない、最先端のテクノロジーも随所に取り入れられています。
早速、館内を散策。
まず目を奪われるのが、このプール。まるで中世の世界にタイムスリップしてしまったかのような、幻想的な雰囲気に包まれています。



少し見えずらいのですが、実は奥にも室内プールが。そして、反対側にはジャグジーもあります。
ロビーエリアから中庭へと抜ける一角にあるのが、「The Rajawat Room」。ロビーラウンジのような、ゆったりとくつろげる憩いの空間です。


そして、なんと!
今回、私が一人旅をしているということで、ホテルのご厚意で、特別にアフタヌーンティーをご用意いただきました。


サンドイッチにスイーツ、そしてスコーン。マサラチャイとともに、至福のひとときを過ごしました。
そして、ここにもシックスセンシズらしいこだわりが。
お砂糖の代わりに、ココナッツシュガー、ジャガリー(粗糖)、そして蜂蜜が用意されています。

シックスセンシズでいただく料理や飲み物は、天然由来で地元の持続可能な栽培法による食材を用いたシックスセンシズ流の食体験「Eat With Six Senses」の考えに基づき、どれも罪悪感なく楽しめるものばかり。身体、心そして環境にも心地よく、食べることそのものが楽しみになるような味わいです。
美味しくアフタヌーンティーをいただいた後は、隣のスペースで「ヘナタトゥー」体験。
インドに来たからには、ぜひ体験してみたかったものの一つです。

片手なら無料。両手の場合は、INR 750++(約1,500円)とのこと。
完成後は、3時間ほどどこにも触れないようにする必要があるそうで、それはかなり難しそう……。ということで、今回は片手だけ体験することにしました。
チョコペンのような道具を使い、何も見ずにスラスラと描き進めていく姿にびっくり。みるみるうちに、美しいデザインが出来上がっていきます。

いったい、この繊細なデザインの発想はどこから生まれてくるのだろう……。その見事な手仕事に、ただただ感心してしまいました。
そして、およそ20分後。ヘナタトゥーの完成です!

こちらはまだヘナが肌にのっている状態ですが、時間が経って乾いてくると、ポロッと剥がれ落ちてくるそう。
休む間もなく、次のアクティビティへ。向かったのは「Earth Lab」です。

ここでは、自然素材やリサイクル素材を活用し、新たなものを生み出すさまざまな取り組みが行われています。サステナビリティを大切にするシックスセンシズならではの、ユニークな空間です。
今回私は、ミツバチの巣から採れる「ミツロウ(Beeswax)」を使って、リップバーム作りに挑戦しました。


自分で作るからこそ、何が入っているのかを知ることができる。そんな安心感も、この体験の魅力のひとつです。
環境にも、そして自分自身の健康にも配慮した、こうした小さな取り組みの積み重ね。そこにも、シックスセンシズが大切にしている「ウェルネス」と「サステナビリティ」の考え方が感じられました。
さて、少しずつ日が暮れ始め、辺りが夕暮れの色に染まってきました。
そして、ご覧のとおり、館内には鳩の姿があちらこちらに。その鳩と歴史ある建物が織りなす光景にもまた、なんともいえない風情があります。

ディナーの前には、「Wine Cellar Experience」が。
レストランのスタッフエリアへと案内されると、そこには何やら長い階段が。その階段をゆっくりと進んでいくと……。

その昔、敵から身を守るために使われていたという、防空壕のような地下空間が。
さらに奥へと進んでいくと、そこにはワインセラーやリカーの保管スペースが。今でも実際に、ワインやお酒の保管場所として使用されているそうです。


そんな特別な場所で、サファリの映像を眺めながら、インド産のワインを楽しみました。



そして、対応してくださったスタッフの方が、以前、京都のシックスセンシズへ3か月間、タスクフォース(姉妹ホテルへの応援)として派遣されていたとのこと。思いがけず日本の話で盛り上がり、楽しいひとときとなりました。
すっかり日も暮れ、より一層幻想的な雰囲気に。

中庭では、音楽と歌のパフォーマンスが始まり、夜のひとときを華やかに彩っていました。

ディナーは「Rani Bagh」にて。
普段は、砦のオーガニックガーデンで育てた旬の食材を使い、炎を使って目の前で仕上げるダイナミックな料理を楽しめるそうですが、この日はBBQスタイルとのこと。
前菜には中東料理、メインにはチキンと、香ばしく焼き目のついた野菜。


昼間とはまた違った表情を見せる、まるでアラジンの世界に迷い込んだかのようなプールを目の前に、穏やかで特別な一夜を過ごしました。


さて、次の日はオールデイダイニングの「The Cortile」にて、朝食からスタートです。


地中海料理のクルードをはじめ、アジア料理、インドの家庭料理、ヘルシーなサラダまで、幅広い料理を楽しめます。
インドに来てからすっかり虜になってしまったマサラチャイ。砂糖の有無を確認してから、目の前で丁寧に注いでくださいます。

そして、セミビュッフェスタイルなので、好きなものを自由に取りに行き、メイン料理はテーブルからオーダー。ドーサやビリヤニなど、インド料理を中心にいただきましたが、どれも本当に美味しく、大満足の朝食でした。

プールで泳いだり、広い敷地内をのんびり散策したりした後は、楽しみにしていたスパタイム。
実は、ホテルやフロントのある建物は後から増築されたエリア。一方、スパのトリートメントルームがあるエリアは、なんと当時の姿をそのまま残しているとのこと。
それは、建物を見れば一目瞭然。ところどころ色あせたペイントや、年月を重ねた石壁からも、その長い歴史が感じられます。


そんな歴史ある空間に身を委ねながら、至福の60分をゆっくりと堪能しました。

ランチは、朝食をいただいた「The Cortile」で。
本場で味わうインド料理は、どれも感動するほど美味しくて。メニューにはもちろん他の料理も並びますが、ここでもインド料理を。


その後は、「Heritage and Horticulture Walk」へ。ホテルの歴史や庭園、植物をめぐりながら、その魅力を知るウォーキングツアーです。このツアーでは本当にたくさんのことを学びましたが、ここではとても書ききれないほど。詳しくはぜひ現地を訪れて、実際にツアーに参加して、その魅力を体感してみてください。


ツアーを終えて部屋に戻ると、なんと「Heritage Walk」の修了証が!
思いがけない嬉しいサプライズでした。

ホテルでの最後のディナーは、「Destination Dining Experience」。
「そんな名前のレストラン、あったかな?」と思い、近くにいたスタッフの方に尋ねてみると、すぐに私のGEMと連絡を取ってくださり、エスコートされた先には……。


なんと、最上階のテラスには、私だけのために用意された特別な空間が。ここではロマンチックディナーやプロポーズディナーが行われるとは聞いていましたが、まさかこの特別な空間が、私だけのディナーの舞台になるとは……。
ディナーはコース仕立てで、スープ、前菜から始まり、少量ずついろいろな料理を一皿に盛り合わせたプレートのターリーに、デザートまで。




そして、この週末はちょうど誕生日だったこともあり、中庭で演奏していたミュージシャンが、バースデーソングを奏でながら私の席まで来てくれました!
さらに、素敵なバースデーケーキまで用意していただき、忘れられない夜となりました。

美味しい料理を心ゆくまで堪能し、心もお腹も満たされたところでお部屋へ戻ると……。

バスタブにはたっぷりのお湯が張られ、そこにはなんと、ふわふわの泡が。
バスタブにお湯を張るのは少し時間がかかるな……と思っていたところ、すでに用意されていたバブルバス。そんな私の思いまで先回りしてくれたような、嬉しいサプライズでした。
そして、もう一つ。思わず笑顔になってしまう出来事がありました。
元ホテルマンということもあり、私はつい、ホテルの細かなところまでチェックしてしまいます。その一つが、ターンダウンサービス。
ターンダウンサービスとは、就寝前に客室を整えるサービスのこと。ベッドサイドのお水やスリッパ、読みかけの本へのブックマークなど、ホテルによってさまざまな心遣いがあります。
今回、1日目と2日目は、ベッドの左側にお水とスリッパが用意されていたため、自分で寝る側(右側)に移動させていました。
ところが、この日ディナーから戻ると……なんと、私がいつも寝ている右側にお水とスリッパが。

ゲストがどちら側で寝ているのか、アメニティー類は何をよく使用しているのか。お水はガス無し・ガス有りのどちらを好むのか。そこまでしっかり見ていなければできない、まさにラグジュアリーホテルならではの細やかな心遣い。
そこまで細やかなところに気づいてくださったことが嬉しくて、思わず笑顔になりました。
また、お部屋のミラーには、なんと日本語でのメッセージが。

まるで子どもの頃、クリスマスプレゼントを見つけたときのような、ワクワクする気持ちに包まれました。
一つひとつのサプライズを、私のために用意してくださったことが何より嬉しく、Six Senses Fort Barwaraをより一層特別な場所に感じる瞬間でした。
チェックアウト当日の朝は、Six Senses Fort Barwaraからも見えていた、山の上に佇む「Chauth Mata Temple(マータ寺院)」へハイキング。Chauth Ka Barwaraの丘の上に建つ歴史ある寺院。白い大理石を使ったラージャスターン様式の美しい寺院で、主祭神のChauth Mataのほか、ガネーシャやバイラヴァも祀られています。
車で山の麓まで移動し、そこからおよそ700段の階段を登って、山頂の寺院を目指します。これが想像以上にきつく、汗だくになりながら、ひたすら階段を登りました。

700段の階段を登りきった先に待っていた、山頂からの景色は圧巻。
眼下には広大な景色が広がり、遠くにはSix Senses Fort Barwaraも望むことができます。

ホテルに戻り、軽く朝食をいただいて、いよいよ出発の時間。名残惜しさを感じながら、ホテルを後にしました。


歴史ある砦を舞台に、細やかなおもてなしと、ここでしか味わえない特別な体験の数々。食事やスパ、アクティビティはもちろん、何より心に残ったのは、ゲスト一人ひとりをよく見てくれていると感じられる、温かなサービスでした。
ただ泊まるだけではなく、この場所の歴史や文化、そして人の温かさまで感じることができた、忘れられない滞在。Six Senses Fort Barwaraは、私にとってまた訪れたいと思える、特別なホテルとなりました。
いかがでしたでしょうか?
書きたいことが本当にたくさんあり、写真の選別にもかなり悩んでしまった、今回の記事。
京都、ヤオノイ(タイ)、ロンドン、そしてインド。今回が4軒目のシックスセンシズでの滞在でしたが、その中でもまず印象に残ったのは、建物が持つ歴史の深さ。単に歴史ある建物に泊まるだけではなく、その歴史や文化を感じながら過ごせることが、このホテルならではの魅力だと感じました。
ジャイプール市内から車で約3時間という立地も、このホテルが持つ特別な環境の一つ。道中では牛が道路を横断したり、いくつもの村を通り過ぎたりと、移動そのものがインドらしい旅の一部になります。
まず、ホテルまでは、ホテル手配のハイヤーを利用することを強くおすすめします。そして、道中にはもちろんガソリンスタンドやショップもありますが、皆さんが想像する日本のような環境とはちょっと違います。
お手洗いは出発前に済ませておき、「ここから3時間は行けない!」くらいの覚悟で(笑)。それも含めて、Six Senses Fort Barwaraへの旅なのかもしれません。
世界に26軒あるシックスセンシズ。
経験すればするほど、それぞれの土地や文化を活かしたシックスセンシズの魅力に惹かれていきます。
同じブランドでありながら、どのホテルもまったく違う表情を持っている。それこそが、また次のシックスセンシズを訪れてみたくなる理由なのかもしれません。
「インド」と聞くと、少し躊躇してしまう方もいるかもしれません。
ですが、Six Senses Fort Barwaraでしか味わうことのできない、歴史ある砦での特別な滞在や、インドならではの文化や食、そして細やかなおもてなしは、ここまで足を運んだからこそ出会えるもの。
少し勇気を出して訪れてみると、きっと想像していたインドとはまた違った、忘れられない特別な旅が待っているはずです。
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そして、ここで皆さまにお知らせがあります!
これまで「優遊自適」では、47軒のホテルをご紹介してきましたが、このたび、トラベルアドバイザーとして、皆さまの旅行のお手伝いを始めることになりました。
「旅行のビジネス」と聞くと、少し堅苦しく感じるかもしれません。でも、旅行って、行き先を決めるところから、ホテル、フライト、クルーズ、ツアーなどを調べて予約するまで、意外と時間も手間もかかるもの。
そこで、これまで「優遊自適」でホテルを訪れ、実際に見て、感じて、ご紹介してきた経験を活かし、皆さまの旅の計画から、ホテルやクルーズ、ツアーの手配まで、まとめてお手伝いします。
「どこに泊まればいいかわからない」
「せっかくの旅行だから、ちょっと特別な旅にしたい」
「自分で調べる時間がない」
「ホテルだけでなく、旅全体を相談したい」
そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。
これからも「優遊自適」では、私自身が実際に訪れて「ここは素敵!」と思ったホテルや旅先をご紹介していきます。
皆さまの大切な旅が、もっと楽しく、もっと心地よいものになりますように。
旅行のご相談・手配はこちらまで
Email:marina.sueyoshi@fora.travel