シニアライフを楽しもうとしている人のなかには、認知症予防について知りたいと考えている人も少なくないです。

認知症の予防には、適切な栄養摂取や適度な運動、積極的な社会活動が必要だと言われています。

本記事では、認知症予防ができる食材や、効果的な食事の取り方について解説しているので、認知症を予防し、健康的な毎日を過ごしたいという人は参考にしてください。

認知症とは?

認知症とは?

脳の病気や障害などの事柄が要因となり、記憶力や言語能力、判断力や遂行力などさまざまな能力が低下し、日常生活に支障が出てしまう状態が「認知症」です。

公益財団法人長寿科学振興財団によると、認知症の種類には、「アルツハイマー型認知症」や「血管性認知症」など数種類あります。

アルツハイマー認知症の原因として考えられているのは、脳内で作られるタンパク質の一種であるアミロイドβの蓄積です。

アミロイドβは健康な人の脳内にもあり、すぐに分解、排出されます。しかし、加齢が原因で分解や排出がうまくいかなくなってしまったり、大きなアミロイドβができてしまったりすると、脳に溜まっていってしまい、アルツハイマー型認知症の原因となってしますのです。

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など脳の血管に問題による、脳機能の低下や消失が主な原因です。

いずれも、適切な食事、運動、社会生活を心がけることで、認知症発症のリスクを下げられると考えられています。

認知症の予防となる5つの食材

認知症の予防となる6つの食材

認知症の予防となる食材は、生活習慣病などの病気の予防にも繋がります。

代表的な5つの食材は以下のとおりです。

  • 青魚
  • ナッツ類
  • 野菜・果物
  • 大豆
  • コーヒー・緑茶

認知症の予防となる食材は普段の食事だけでなく、間食などにも積極的に取り入れていくことで効率よく摂取しましょう。

1.青魚

青魚は、DHA、EPAと呼ばれる、オメガ3系脂肪酸が多く含まれているのが特徴です。

EPAには、血栓や動脈硬化の予防、血圧を下げる作用や悪玉コレステロール値の低下が期待でき、脳血管性認知症のリスクを下げると言われています。

また、DHAが持つ脳や神経組織の機能を高める働きも大きなポイントです。

国立長寿医療研究センターでおこなわれている研究では、地域の60歳以上の人の血液中のDHA濃度を調べ、10年後の認知機能低下のリスクを調査しました。

その結果、DHA濃度の最も低い人たちよりも、中程度または高い人たちのほうが、認知機能低下のリスクが0.11~0.17倍低かったことが判明しました。

このことからも、DHAが豊富に含まれている青魚は認知症予防に効果的な食材であることが分かります。

2.ナッツ類

ナッツ類のなかでも、とくにクルミには青魚と同じくオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれています。

ほかにも、アーモンドに含まれているポリフェノールには、細胞の老化の抑制効果が期待できるでしょう。

各種ナッツには認知症予防だけでなく、腸内環境の改善を促したり、丈夫な骨づくりに役立ったりといったメリットもあります。

しかし、ナッツ類はカロリーが多いので、1日に食べる量は、軽く一握りしたくらいの25gを目安としましょう。

なかには、油で揚げてあるものや、塩がまぶしてあるものもありますが、カロリーや塩分過多の原因となるので、できれば「素焼き」「無塩」のナッツを選ぶのがおすすめです。

3.野菜・果物

認知症予防に有効な野菜は、にんじんやかぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜です。

緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンには、強い抗酸化作用があり、脳の老化防止に効果があると言われています。

また、果物を選ぶときは、ブルーベリーやクランベリーなどのベリー類、バナナ、グレープフルーツなどを選びましょう。

これらにも、優れた抗酸化作用をもつポリフェノールが多く含まれています。

4.大豆

国立長寿医療研究センターの研究では、女性は大豆に含まれているイソフラボン摂取量が多いほど、認知症リスクが低下するという結果が報告されています。

そのほかにも、大豆のなかにはサポニンや大豆レシチン、大豆ペプチドなどの栄養が豊富に含まれており、脳機能の向上や脳の神経細胞の保護、動脈硬化の予防効果があると言われています。

日本食は、大豆の食べ方のバリエーションが豊富です。

味噌、豆腐、納豆、油揚げ、厚揚げ、きなこなどさまざまな種類があるので、工夫して毎日の食事に取り入れていきましょう。

5.コーヒー・緑茶

コーヒーや緑茶には、認知症を予防する効果があると言われています。コーヒーや緑茶は、習慣的に飲んでいる人が多い傾向にあるので、日常生活に取り入れられやすいでしょう。

コーヒーや緑茶に含まれるポリフェノールには、認知症を予防する抗酸化作用があり、アミロイドβの蓄積を防ぐとも言われています。

ただし、コーヒーや緑茶にはカフェインも多く含まれているため、飲む時間などを調節して睡眠に影響が出ないよう配慮しましょう。

認知症の予防効果を高める食事の取り方

認知症の予防効果を高める食事の取り方

認知症予防となる食材を取り入れるとともに、認知症の予防効果を高める食事の取り方をすれば、より効果的に認知症を予防できるでしょう。

認知症予防の効果を高める食事の取り方は、以下になります。

  • バランスのよい食事を取る
  • 効率よく摂取する
  • 認知症のリスクを上げる食品を控える

これらについて、1つひとつ詳しく解説していきます。

バランスのよい食事をとる

認知症予防となる食材を紹介しましたが、それらの食材ばかりを食べていたら、過剰摂取となり、かえって健康を害してしまう可能性があります。

基本となる栄養バランスを整えることで、はじめてそれぞれの食材の長所が生かされることを理解しましょう。

バランスのよい食事とは、ごはんやパンなどの炭水化物とともに、ビタミン、ミネラルや食物繊維を含む野菜、肉や魚などのタンパク質、脂質を組み合わせた食事のことです。

炭水化物を始めとする糖類や、塩分、カロリーの摂りすぎに気をつけ、3食の時間を守って食べるよう心がけましょう。

効率よく摂取する

あまり一度にたくさんの量を食べられないという人は、少ない食事で効率よく栄養を摂取できるような工夫をしましょう。

たとえば、和食は青魚や大豆などを使ったさまざまな種類のメニューがあり、少量で認知症の予防になる食材を効率よく摂取できる代表的な食事として知られています。

味噌汁やスープ、そうめんのつけ汁などにオリーブオイルをプラスしたり、きな粉やすりごまをさまざまな食材に振りかけたりして、認知症になる予防食材をいつもの食事にくわえてみましょう。

認知症のリスクを上げる食品を控える

認知症のリスクを上げる食品については、食べないか、食べる量を減らしましょう。

認知症のリスクを上げる食品は以下になります。

  • マーガリン、ラード
  • 超加工食品
  • アルコール

マーガリンやラードに含まれているトランス脂肪酸の摂りすぎは、悪玉コレステロール値の上昇と深く関連しており、それによって起こる動脈硬化は脳へダメージを与えます。

また、ソーセージやベーコンなどの加工肉やスナック菓子、菓子パン、インスタント食品など、添加物や油脂などが過剰に加えられた超加工食品の摂取も、なるべく控えたほうがよいです。

超加工食品は、認知症の原因となるだけでなく、生活習慣病やうつ病なども引き起こすと言われています。

アルコールの摂りすぎも、認知症のリスクを上昇させるので、飲酒量には十分気を配りましょう。

まとめ

認知症に、不安を抱いている人は多いです。

しかし、予防となる食材をバランスよく取り入れ、リスクとなる食材の摂取を控えるなどすれば、リスクの軽減が期待できるでしょう。

カロリーの摂りすぎや、糖分、塩分の過剰摂取に注意を払うことも大切です。

ぜひ、今回紹介した食事を参考に認知症予防をし、より充実したシニアライフを送ってください。