定年後もまだまだ現役、と思っていても身近な人から怪我や病気が増えたと聞くと、自分自身もできる限り予防や対策をしなければいけないと感じる人もいるでしょう。

超高齢化社会といわれる日本では、がん・糖尿病・認知症患者が増えると予測されています。なかでも認知症については、65歳以上で発症している人が2012年の時点で約462万人にのぼっているのです。

この記事では、認知症に関する知識を分かりやすく解説します。そして、認知症予防によいとされる運動の効果の有無についても紹介します。

認知症への理解を深めて、漠然とした不安や心配を取り除き、いきいきとしたシニアライフを送りましょう。

認知症とはどのような病気?

認知症とはどのような病気?

認知症とは、認知機能が低下し、日常生活に支障がでてくる状態を言います。

また、超高齢化社会と呼ばれる日本では、要介護認定をされている人がいる高齢者世帯の割合は57.1%で、介護が必要となった要因としてもっとも多かったのは認知症でした。

将来、5人に1人が認知症を発症すると予測されています。病気に対して漠然と不安を抱えるのではなく、認知症に関する知識を深めて予防や対策をおこなっていきましょう。

認知症と、その有病率について説明します。

認知症とは

認知症とは厚生労働省によると、さまざまな原因により認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態です。

認知症のなかでもっとも多いアルツハイマー型認知症は、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。通い慣れた道で迷う、お金の勘定ができなくなるなど、今までできていた行動においてミスが増える症状がみられます。

日本の認知症有病率

日本で認知症を発症している人は、2012年時点で約462万人にのぼっています。2060年には1,154万人に達すると予想が立てられています。

認知症は高齢になるにつれて有病率が上がり、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%が認知症を患っています。

認知症を完治する治療法は見つかっていませんので、発症を予防をすることが重要です。とくに運動は認知症を予防する上で大切なポイントとなります。

認知症予防と運動の関係について、次の章で詳しく解説します。

認知症予防に運動は効果的なのか

認知症予防に運動は効果的なのか

定年後の自由な時間で、仲間たちとスポーツを楽しんだり、筋力トレーニング(筋トレ)をおこなったり、体力の低下を防ごうと意欲的に行動したりしている人もいますよね。

運動不足と認知症発症には関連があり、運動習慣がある人のほうが発症リスクが低くなっているという研究結果も出ているのです。

したがって、認知症予防には日常生活に運動を取り入れることが重要なポイントとなってきます。

運動不足と認知症の関係、そして運動が認知症予防に与えるメリットについて詳細を説明します。

運動不足と認知症の関係

日頃の運動習慣と認知症発症の関連性を追った研究によると、運動習慣がない人(運動習慣が週に1回未満)の認知症発症率と、運動習慣がある人を比較した場合の結果に差が出ました。

週に1回以上の運動習慣がある人は、約40%アルツハイマー型認知症の発症リスクが低くなることが分かりました。

また、1日の歩行距離が400mの人と、3.2km以上の人とを比べると、歩行距離が少ない人のほうが認知症発症リスクが約2倍高くなることが判明しています。

上記の研究結果から、運動不足は認知症発症率に大きく関係していることが分かりました。

では、なぜ運動は認知症の発症率を下げることができるのでしょうか。下記で説明します。

運動が与えるメリット

運動により血流がよくなると、認知症の原因であるアミロイドβやタウたんぱく質などが発生しにくくなったり、脳から排出されやすくなったりするのではないかと推測されています。

認知症のなかでも、発症率が全体の70%と高い割合を占めているのがアルツハイマー型認知症です。

このアルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβ」「タウたんぱく質」という物質が蓄積され、脳の細胞が破壊されることで引き起こされます。

脳の外傷や脳血管障害などによる脳の萎縮も認知症発症に関連があるとされています。脳血管障害を防ぐには、血流の流れをよくすることが重要です。

運動をすることで、血流をよくし、脳へ十分な血液を送ることができる状態だと、脳を守るたんぱく質が分泌されることも証明されています。

しかし、ひとくちに運動といってもどのような運動が認知症予防に効果的なのでしょうか。
次の章で、認知症予防につながるトレーニングやスポーツの種類を解説します。

認知症に効果的なほどよい運動

認知症に効果的なほどよい運動

認知症予防には運動を行い、脳への血流をよくすることが重要だと分かりました。しかし、今までスポーツや筋トレをしておらず、急に激しい運動ができるか不安を覚える人もいるでしょう。

運動といっても必ずしもたくさんの量をこなす必要はなく、以下のような日常的な行動も運動になります。

  • 家まで一駅分歩いて帰る
  • エレベーターではなく階段を使う

日常生活を過ごすうえで、より活動量が上がる選択をすることが大切です。

次の項目で認知症予防によいとされる運動をいくつかご紹介するので、ぜひ日々の生活に取り入れてみてくださいね。

その1.有酸素運動

有酸素運動とは、無理なく続けられる軽い運動のことです。有酸素運動をおこなうと、脂肪燃焼や全身の血流がよくなる効果が得られます。

また、暗算をしながら歩いたりしりとりをしながら足踏みをしたりするなど、脳トレと運動を組み合わせることも認知症対策によいとされています。

有酸素運動の例は、以下のとおりです。

  • ウォーキング
  • 踏み台昇降
  • ラジオ体操

自分の生活に取り入れられるものから実践してみましょう。

その2.無酸素運動

無酸素運動とは、筋肉トレーニングのことです。

無酸素運動をおこなうと、筋肉量が多くなり、基礎代謝が上がります。筋肉量が増えると、姿勢をよく保つことができ歩行中の転倒防止にもつながります。

下記は無酸素運動の一例です。

  • つま先立ちでかかとを上下する
  • いすに腰をかけて足を上げる
  • 背中と腰をひねる

テレビを見たり料理をしたりしながらできるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

その3.コグニサイズ

コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせたものです。コグニサイズは、運動で体の健康を促すとともに、脳の活動を活発にする機会を増やし、認知症の発症を遅延させることを目的につくられています。

下記で具体的なコグニサイズのやり方をご紹介します。

  • コグニステップ
    簡単な足のステップに加えて、3の倍数のときに手を叩く。
  • グループでコグニサイズ
    5人グループで1人ずつ数を声にだして数えながら階段昇降やステップ運動をおこない、4の倍数のときは声を出さずに手を叩く。
  • コグニウォーク
    上半身を起こして大股で、しりとりや計算などをおこないながら歩く。

以上が認知症対策によい運動でした。

一度にたくさんの量をこなすよりは、毎日無理なく続けられることが一番大切なポイントとなります。一人でも安全にできることや、仲間と協力して楽しめることを選びましょう。

まとめ

定年後は新しい趣味を始めたり、仲間たちとの旅行に行ったりと楽しみも増えますが、そのためにも病気や怪我などがない、健康的な状態であることが大切ですよね。

とくに加齢とともに気になってくるのは、認知症でしょう。将来的には5人に1人が発症すると言われているのです。

認知症を予防するには、運動が効果的であることが分かっています。運動不足の人や、日頃の運動習慣がない人は、生活に取り入れやすく毎日続けられる運動を選びましょう。

認知症対策としておこなうとよいとされる運動は、こちらです。

  • 有酸素運動
  • 無酸素運動
  • コグニサイズ

必ずしも激しい運動が必要ということではなく、階段の登り降り近所を散歩するなど日常に取り入れやすいかたちで継続していくことが大切です。

友人・運動仲間と一緒にトレーニングや体操に取り組み、楽しく健康なシニアライフを過ごしましょう。