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50代がもう見えてきてはいるが、妊娠を希望している。50代での出産は実際どれくらいの割合なのか、また、リスクのことも知っておきたい。そう考えている人もいるのではないでしょうか。
割合は少ないですが、50代で妊娠・出産した人もいます。そして、高齢出産には確かにリスクはつきものですが、対策することでリスクの発生を下げることもできます。
この記事では50代以上での出産の割合や、考えられるリスクと、気を付けるポイントを紹介。
どんなリスクがあるのか、また気を付けるべきポイントを把握することで、高齢出産への理解が深められるでしょう。
50代以上の妊娠の割合とその背景
芸能人のニュースではたまに耳にしますが、50代の妊娠・出産は実際どれくらいの割合なのでしょう。
ここからは、高齢出産が増加傾向にあることやその背景、また50代の妊娠・出産の割合についてご紹介していきます。
高齢出産の増加傾向とその背景
日本産婦人科医会では、35歳以上で初産を迎える場合を「高年初産」と定義して調査をおこなっています。2012年におこなわれたこの調査では、出産の高齢化が1980年代から90年代にかけて進んでおり、とくに2000年以降はすべての初産のうち高年での妊娠が1割を超えたことから、晩産化が進んでいるとの結論が出されました。
晩産化が進んだ背景の理由は1つではないですが、女性の社会進出増加に伴い晩婚化が進み、高齢での出産に繋がったということが大きく挙げられるでしょう。
50代以上での妊娠・出産の割合
高齢での出産は増加していますが、実際に50代以上での妊娠・出産はどのような割合になっているのでしょうか。
厚生労働省の人口動態統計にある「母の年齢(5歳階級)・出生順位別にみた出生数」によると、令和元年には56人が50歳以上の出産で産まれています。総数が86万5239人であるため、割合でいうと0.00006%と低い数字ではありますが、まったく可能性がないわけではありません。
ただし、50代で自然妊娠したいとなると、さらに高い壁になることが現状です。50代で妊娠・出産を希望する場合は、しかるべき専門家を早めに受診することをおすすめします。
高齢妊娠・出産で考えられるリスク
高齢での妊娠・出産では、少なからずリスクがあると考えられています。具体的には以下のような点です。
- 難産になる可能性がある
- 合併症を引き起こす恐れが高まる
- 染色体異常の発生の割合が増える
- 不妊治療費が高額になる
心構えや対策をするためにも、リスクを事前に把握しておくことは大事ですよね。
一つひとつ、詳しくみていきましょう。
難産になる可能性がある
高齢で出産する場合に考えられるリスクの1つとしてまず挙げられるのは、難産になる可能性が高いことでしょう。
年齢を重ねるにつれて柔軟性が衰えることにより、胎児がとおる産道と子宮口が硬くなっているケースが多くなります。そのため、自力でのお産は難しいと判断され、急遽帝王切開になることもあるのです。
合併症を引き起こす恐れが高まる
「前置胎盤」は、子宮口の一部、または全部をふさぐ位置に胎盤がある症状です。「常位胎盤早期剥離(はくり)」は、分娩前に胎盤が一部または全部剥離してしまう症状を指します。
平成25年の厚生労働省の調査では、前置胎盤や常位胎盤早期剥離などの合併症は「加齢とともに直線的に上昇し、加齢そのものが影響する疾患」との結果が出ていました。
とくに前置胎盤は「20~34歳に比較して40歳以上で2倍以上の相対リスク」があるなど、高齢出産を考える際に気をつけなければならない点かもしれません。
染色体異常の発生の割合が増える
通常は2本でペアの染色体ですが、過剰や欠失により遺伝子群の量的不均衡を起こすことを染色体異常といいます。染色体異常は卵子が母体とともに年齢を重ねることで細胞分裂する力が弱まり、引き起こされると考えられてきました。
とくに21番目の染色体が3本あることを21トリソミー(ダウン症)と言い、多くの場合に知的障害・身体的発達の遅れなどの症状を伴います。
高齢出産の際の懸念として、このような染色体異常の発生の割合が増えるという点もあるでしょう。
不妊治療費が高額になる
高齢での自然妊娠は難しいので専門の病院で不妊治療にかかろう、と考えている人も多いのではないでしょうか。
現在、日本では特定治療支援として、高額な医療費がかかる不妊治療への助成制度があります。しかし、その対象年齢は妻の年齢が43歳未満となっており、女性が50代での妊娠を希望している場合は対象外となってしまうのです。
厚生労働省の調査では、顕微鏡受精をし凍結胚移植に至るまでの平均治療金額が55万円にのぼるという結果が出ています。治療法によっても金額は変わってきますが、助成金なしで高額な不妊治療を受けなければいけないことも、高齢出産を考える際のリスクになるかもしれません。
高齢妊娠・出産をするために気を付けるポイント
高齢出産に対するリスクを下げたい場合は、以下のような点を意識するとよいでしょう。
- 適度な運動を心がける
- 葉酸を積極的に摂取する
- 食生活に気を配る
- 専門家を受診し医療機関のサポートを受ける
出産リスクを下げるだけでなく、高齢での妊娠を希望している場合にも気を付けるポイントになってくるので、参考にしてみてくださいね。
適度な運動を心がける
高齢で妊娠・出産を希望する場合は、運動する習慣を作ってみましょう。冷えからくる血行不良は卵巣機能の低下を招きますが、運動することでついた筋肉が冷えを防止し、結果的に妊娠しやすい身体づくりに繋がりますよ。
妊娠した際も急激に体重が増加してしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こし、難産になってしまう可能性もでてきます。体重を管理するためにも、妊娠前だけでなく妊娠後も適度な運動を心がけてみてくださいね。
葉酸を積極的に摂取する
葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンです。妊娠初期の細胞分裂が起こる際に大事な栄養素で、不足すると身体の形成がうまくできない「神経管閉鎖障害」という先天異常が起きる可能性があります。
細胞分裂は妊娠に気が付く頃にはすでに始まっているため、葉酸は妊娠を考え出したときから摂取するのが望ましいとされていますよ。
食生活に気を配る
まずは、バランスのよい食生活を心がけましょう。とくに妊娠時には、鉄分やタンパク質がより必要なことがわかっています。普段の食事から意識的に摂り入れるようにするとよいですね。
そして、栄養素を摂取することも大事ですが、食べ過ぎには注意してください。母体が肥満気味だと微弱陣痛に陥り、スムーズな出産の妨げになることもあるので気を付けましょう。
専門家を受診し医療機関のサポートを受ける
高齢で妊娠・出産を考えている、または控えている場合は、早めに専門家を受診し医療機関のサポートをきちんと受けましょう。定期的に検診を受けることで、合併症の早期発見にも繋がります。
また高齢での出産は、母体疲労からくる産後のトラブルも起きやすい傾向があります。公共のファミリーサポートや産後ケアサービスなども、先に調べておくと安心かもしれませんね。
まとめ
ここまで、50代での妊娠・出産の割合や、考えられるリスクについて紹介してきました。改めて、高齢出産では以下のようなリスクに気をつけましょう。
- 難産になる可能性がある
- 合併症を引き起こす恐れが高まる
- 染色体異常の発生の割合が増える
- 不妊治療費が高額になる
このように気を付けるポイントもある高齢出産ですが、出産後は豊富な人生経験を活かした子育てができるというメリットもありますよ。
また、リスクについては以下のような点に気を付けることで下げられる可能性もあります。
- 適度な運動を心がける
- 葉酸を積極的に摂取する
- 食生活に気を配る
- 専門家を受診し医療機関のサポートを受ける
50代で出産したいと考えている人は、普段の生活から意識を変えたり専門家に相談したりと、事前の対策をしっかりおこなうようにしてくださいね。