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独身のまま老後を迎えることに不安を感じる人は少なくありません。孤独であることもそうですが、生活資金が足りるか心配な人もいるようです。しかし、元気なうちから備えをしておけば、独身での老後生活も安心できます。
年齢を重ねても、充実したシニアライフを送ることができるでしょう。
この記事では、独身の人が充実した老後を送るためのポイントを紹介します。参考にすることで、老後に向けた準備を万全に済ませておくことができるでしょう。
独身の老後の収入と支出とは?
独身の老後の生活資金は退職金や年金、そして貯蓄で賄うことになるのが一般的です。一方で、支出については生活するうえでさまざまなものが発生します。
夫婦世帯と比較すると、独身世帯の支出は抑えられるものの、やはり年金の収入だけで老後の支出を賄うのは難しいことが多いです。
ここでは独身の老後の収入と支出について解説します。
独身の老後の主な収入
厚生労働省の家計調査年報(2019年)によると、独身を意味する高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の実収入は約12万5000円、可処分所得は約11万3000円でした。無職世帯を対象にしているので、主に年金による収入であると考えられます。
独身の老後の主な支出
続いて、支出の方を見てみましょう。厚生労働省の家計調査年報(2019年)によると、高齢単身無職世帯の消費支出は約14万円でした。
消費支出の内訳を確認すると、食費が25.7%、住居費が9.2%、光熱・水道費が9.3%です。
消費支出の内訳については、人それぞれのライフスタイルによって異なります。とくに住居費は、賃貸の場合は金額が上がり、全体に占める割合も高くなる点は理解しておきましょう。
このデータからは、独身の老後生活において月に約2万7000円資金が不足することが分かります。そのため、この部分を補うよう、あらかじめ資産を貯めておく必要があります。
続いて、厚生労働省の調査をもとに平均余命を見ていきましょう。65歳時点の平均余命は男性が約20年、女性が約25年となります(いずれも令和元年時点)。したがって、65歳から平均余命を全うするまでの収入不足を補うには、65歳時点で男性が約648万円、女性は約810万円の資産を確保しておく必要があるのです。
平均よりもゆとりある老後生活を送りたい人は、さらに多くの資産を持っておく必要があります。
夫婦世帯ではないので、政府が出した試算のように2000万円の資産を形成しておく必要はありませんが、独身であっても、ある程度の資産形成が必要になるでしょう。
老後にゆとりある独身生活をおくるための資金対策
生活を切り詰めることなく、ゆとりある独身生活を避けるためには資金対策が重要です。計画的な貯蓄はもとより、資産運用や働くことで資金を増やしたり、住まいなどの固定費を見直したりすることで対策をしましょう。
ここでは、ゆとりある老後の独身生活のための資金対策について紹介します。
計画的な貯蓄
政府は以前、「老後の生活費を枯渇させないためには2000万円貯めておく必要がある」という趣旨の試算を公表しました。
しかし、これは夫婦で暮らすケースを想定したものです。生涯独身で生きる場合には、65歳時点で男性が648万円、女性は810万円あれば最低限の生活を送ることはできるでしょう。もちろんこれを上回ればより老後の一人暮らしにゆとりが出ます。
たとえば、15年間、月4万5000円を貯蓄に回せば、女性の独身生活に必要とされる810万円を貯金できます。50歳前後から計画的に始めれば、貯蓄だけでも充分な資産を形成可能です。
しかし、これはあくまでも統計上の話なので、具体的にどれくらいの支出になるのかあらかじめ計算しておくとよいでしょう。
資産運用で資金を増やす
より短期間で資産を形成したい場合や、より大きな金額の資産を形成して生活にゆとりを持たせたい人は、資産運用を試すのもよいでしょう。
投資商品には、国債や投資信託、株式などリスクと収益性が異なるさまざまな種類があります。投資商品の選び方については、自分が許容できるリスクや目標金額をに応じて投資を検討してみてください。
また、1つの商品に投資するのではなく、投資先を分散することでリスクを減らしたり、金融機関の話を鵜呑みにせず、自分で情報を調べたりすることも重要です。資産運用をする場合は、大事な老後の資金を失わないよう注意しましょう。
60歳以降も働く
生活資金を賄うために老後も働くという選択肢もあります。月あたりの不足額である2万7000円をアルバイトや副業などで稼げれば、その間に資産が減ることは基本的にありません。
定年後の仕事としては、勤務日数や拘束時間に融通が利く仕事が人気です。人とのコミュニケーション能力が求められる接客業やビルの管理人、野外の仕事になることが多い警備の仕事などは需要があるでしょう。
働くことに抵抗がない場合には、有効な資金対策につながります。
住まいや固定費の見直し
老後を迎えるにあたり生活費がかかりすぎていると感じている人は、固定費を見直すのも一案です。
たとえば、都心部などに賃貸で住んでいる場合、地方に転居することで、賃料を節約できるかもしれません。
また、通信費や電気代といった固定費についても、契約プランを変えたり、使用を控えたりすることで節約をすれば、継続的に生活費を引き下げることが期待できるでしょう。
独身の老後生活に必要な資金以外の備えは?
独身で老後生活を送る際、必要な備えは資金面だけではありません。
健康面や趣味、人間関係に気を配ることで、独身でも健やかで充実した独身生活を送ることが可能です。
ここからは資金面以外で、独身で老後生活を送るうえで準備しておきたいことについて紹介します。早めに準備を進めて、快適なシニアライフを送りましょう。
健康に気を使う
いくら資金面でゆとりがあっても、怪我や病気で日常生活を送れなくなってしまっては元も子もありません。とくにご年配の方は、ちょっとした病気や怪我が寝たきりなどにつながるリスクもあります。
日頃から運動をし、規則正しい生活を意識するなど、健康に気を配って生活していくのがおすすめです。
趣味などの生きがいを持つ
独身で老後生活を送る場合、何もやることがないと退屈に感じてしまいますよね。そこで何か生きがいになるような趣味を持つとよいでしょう。
趣味は自分が興味を持つものがおすすめです。できれば資金面や体力面で負担になりすぎず、長期に渡り続けられる趣味がよいでしょう。
交友関係をできるだけ維持する
独身で老後を過ごす場合、家には自分以外誰もいない生活になります。そのため、交友関係を維持して、孤独になることを避けるのはとても重要です。
長年の友人でも、共通の趣味仲間でもよいので、人間関係を維持するように工夫しましょう。会社を離れたがために社会と接触する機会がないという人は、ご年配の方向けのSNSなどを活用して、交友関係を拡げるのも1つです。
まとめ
独身の老後生活を幸せなものにするためには、まず資金面での備えが大切です。夫婦ではないので、政府が試算した2000万円を用意する必要はありません。
独身の人の場合、65歳時点で男性が648万円、女性は810万円程度の資金を用意しておけば、老後の資金面の不安が少し緩和します。必要な資金については、ご自身のライフスタイルを想定したうえで、必要金額を算定してみましょう。
また、それ以外にも健康や趣味、交友関係などに気を配ることで、独身での老後生活を充実したものにできます。
まだまだ元気な50〜60代のうちに、快適なシニアライフのためにしっかりと備えておきましょう。