「介護サービスで何が受けられるの?」

「介護サービスを受けるための手続き方法が知りたい」

この記事を読むだけで介護サービスに詳しくない人でも希望に沿えるケアを選択できるように、大まかなタイプに分けて解説していきます。

  • 自宅で受ける介護サービス
  • 施設へ通う介護サービス
  • 施設に入居する介護サービス
  • 短期宿泊をする介護サービス
  • 様々なスタイルを組み合わせる複合介護サービス

また、介護サービスが必要になったらできるだけ早く利用を始められるように、具体的な手続きの流れも見ていきましょう。

介護サービスとは何かを確認しよう!

まずは、介護サービスの概要について確認していきましょう。

厚生労働省の情報に基づくと、介護サービスとは以下のようなサービスのことです。

大まかに分類していますが、介護保険法に基づく介護サービスは全部で26種類・54サービスもあります。

  • 介護サービスの利用に関する相談やケアプランの作成
  • 自宅で受けられる家事援助など
  • 施設などに通って介護を受ける
  • 施設で生活(宿泊)して介護を受ける
  • 自宅・通い・宿泊を組み合わせて介護を受ける
  • 福祉用具を購入・レンタルする

介護サービスを利用すれば生活が快適になり家族の介護の負担が軽減されます。

介護サービスの特徴を知って介護のイメージを持とう

介護サービスについて厚生労働省の情報に基づき、具体的なサービス内容やメリットなどと合わせて説明します。

自宅、施設への通所・入居など、介護サービスを受けるスタイルに分けて見ていきましょう。

  1. 自宅で短時間の介護サービス
  2. 施設へ通う介護サービス
  3. 施設で生活を送る介護サービス
  4. 短期間の宿泊ができる介護サービス
  5. 自宅・通所・宿泊の複合介護サービス

まずはご紹介する5つのスタイルを理解して、介護のイメージを持ってください。

その1.自宅で短時間の介護サービス

1つ目が、専門のスタッフに自宅まで来てもらって受ける介護サービスです。

ホームヘルパーを呼ぶ訪問介護なら、1回のサービス時間は20分から90分まで利用できます。

自宅で利用できる介護サービスは以下の表で確認してください。

種類 サービス内容 介護度
訪問介護
(ホームヘルプ)
ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介助(食事・排泄・入浴)、生活援助(掃除・洗濯・買い物・調理)を行う。
※通院などの介助サービスを提供している事業所もある
要介護1~5
訪問入浴 介護職員と看護職員が自宅を訪問し、持参した浴槽で入浴の介護を行う。 要支援1・2
要介護1~5
訪問看護 看護師などが疾患のある利用者の自宅を訪問し、主治医の指示のもと、療養上の世話や診療の補助を行う。 要支援1・2
要介護1~5
訪問リハビリ 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたリハビリを行う。 要支援1・2
要介護1~5
夜間対応型訪問介護 夜間帯(18~8時)にホームヘルパーが自宅を訪問して、排泄の介助や安否確認などを行う。また、夜間に突然体調が悪くなったときなどにも介助や救急車の手配といったサービスを受けられる。 要介護1~5
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ホームヘルパーや看護師が、利用者の心身の状況に応じて必要なタイミングで定期的な巡回や随時通報などを行う。 要介護1~5

その2.施設へ通う介護サービス

2つ目が、日中は家族が働いていて介護ができない、ひとりで家にいさせるのが不安、という場合に適しているサービスです。

例えば、通常規模の通所介護施設なら、朝から夕方まで(7~8時間程度)の時間を施設で過ごします。

施設へ通う介護サービスの種類は以下を確認してください。

種類 サービス内容 介護度

通所介護(デイサービス)

食事・入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上を目的とする機能訓練や口腔機能向上のサービスなどを受ける。自宅から施設までの送迎もある。 要介護1~5
通所リハビリ 食事・入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上を目的とする機能訓練や口腔機能向上のサービスを受ける。 要支援1・2
要介護1~5
地域密着型通所介護 食事・入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上を目的とする機能訓練や口腔機能向上のサービスなどを受ける。自宅から施設までの送迎もある。 要介護1~5
療養通所介護 看護師による観察を必要とする人が対象となり、医師や訪問看護ステーションと連携されたサービス。食事・入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上を目的とする機能訓練や口腔機能向上のサービスなどを受ける。自宅から施設までの送迎もある。 要介護1~5
認知症対応型通所介護 認知症で介護を必要とする人が対象。食事・入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上を目的とする機能訓練や口腔機能向上のサービスなどを受ける。自宅から施設までの送迎もある。 要支援1・2
要介護1~5

その3.施設で生活を送る介護サービス

3つ目が、施設に入居してケアを受ける介護サービスです。

日常生活もすべてを施設で過ごすことになるので、家族や周りの人が介護をする必要がなくなります。

施設に入居するタイプの介護サービスは以下の通りです。

種類 サービス内容 介護度
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 入所者が可能な限り在宅復帰できることを目指している。入浴・食事などの生活支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供。 要介護1~5
介護老人保健施設(老健) 在宅復帰を目指している人が対象。リハビリや必要な医療・介護を提供。 要介護1~5
介護療養型医療施設 長期にわたって療養が必要な人を対象としている。機能訓練や必要な医療・介護を提供。 要介護1~5
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・軽費老人ホームなど) 食事・入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練を行う。外部の指定介護サービス事業者と連携して、介護・看護サービスを提供する施設もある。 要支援1・2
要介護1~5
介護医療院 長期にわたって療養が必要な人が対象。療養上の管理・看護・介護・機能訓練、その他必要に応じた医療や生活支援を提供する。 要介護1~5
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症で介護を必要とする人が対象。食事・入浴などの生活支援や機能訓練を行う。家庭的な環境と地域住民との交流が特徴的な施設。

要支援2
要介護1~5
地域密着型介護福祉施設入所者生活介護 常に介護を必要とする人が対象となる。入浴や食事などの生活支援、機能訓練、療養上の世話などを提供する。家庭的な雰囲気があり、地域や家族との関係を重視している。 要介護1~5
地域密着型特定施設入居者生活介護 食事・入浴などの生活支援や機能訓練などを提供。 要介護1~5

その4.短期間の宿泊ができる介護サービス

4つ目が、旅行や法事など、家族が泊まりで家を空けるときに便利な介護サービスです。

用事の他にも、家族が介護疲れでちょっとリフレッシュしたいというときに利用するのも良いでしょう。

宿泊日数は1日から最大30日まで連続で利用可能です。

種類は表にある2つのサービスとなります。

種類 サービス内容 介護度
短期入所生活介護(ショートステイ) 常に介護を必要としている人が対象となる。入浴や食事などの生活支援、機能訓練などを提供する。 要支援1・2
要介護1~5
短期入所療養介護 日常生活における世話や、医療・看護・機能訓練などを提供する。 要支援1・2
要介護1~5

その5.自宅・通所・宿泊の複合介護サービス

5つ目が、自宅・通所・宿泊での介護を一か所の施設で利用できるオールマイティなサービスです。

  • 通所を基本として、容態や希望に合わせて訪問介護も利用したい
  • 定期的に短期間の宿泊も利用したい

状況に合わせて、臨機応変な介護サービスを受けたいという場合に便利です。

種類 サービス内容 介護度
小規模多機能型居宅介護 常に介護が必要な人を対象としている。入浴・食事などの生活支援や機能訓練などを提供。 要支援1・2
要介護1~5
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) 日常生活上の世話や、医療・看護・機能訓練などを提供する。 要支援1・2
要介護1~5

介護サービスを受けるには?まず何から始めればいい?

介護サービスを受けるには何から始めればいいのかを事前に把握しておきましょう。

厚生労働省によると、以下の流れで申請が進みます。

  1. 市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定)の申請
  2. 要介護度(要支援度)の決定
  3. サービス計画書(ケアプラン)を作成
  4. 介護サービスを選び利用を始める

順を追って詳しく説明していきます。

1.市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定)の申請

介護保険の対象となる介護サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。

市区町村の窓口で申請しましょう。申請のときに気になることがあれば、聞いておくと今後の心配も一緒に解消できます。

申請の際には、介護保険被保険者証が必要です。

40~64歳の人が申請を行う場合には、医療保険証を用意してください。

2.要介護度(要支援度)の決定

申請後、市区町村の調査員から認定調査を受けます。

介護認定には主治医意見書が必要です。

主治医意見書は、市区町村が主治医、もしくは指定医に依頼をして作成します。診療所のかかりつけ医も主治医に該当するため、そこで依頼すると簡単に作成してもらえるはずです。

そして、調査員による認定調査と主治医意見書を元に、要介護度が決定。要支援1・2、要介護1~5までの7段階もしくは非該当、いずれかの判定を受けます。

申請から認定の通知を受けるまでの期間は、原則30日以内です。

3.サービス計画書(ケアプラン)を作成

サービス計画書(ケアプラン)は、介護サービスを利用するために必要なものです。

依頼を受けた介護支援専門員(ケアマネジャー)が本人や家族の希望、心身の状態などを考慮して、利用者に合うサービスが受けられるようにケアプランを作成します。

サービス計画書は2種類あるので、違いを確認しておきましょう。

  1. 介護サービス計画書:要介護1以上の人が対象
  2. 介護予防サービス計画書:要支援1・2の人が対象

介護サービス計画書は、ケアプラン作成事業者に依頼して作成します。

介護予防サービス計画書は、地域包括支援センターへの相談が必要です。

4.介護サービスを選び利用を始める

ケアプランが完成したら、サービスの利用手続きを行います。

利用する事業所との契約が済んだら、ケアプランの内容に基づいてサービスの利用開始です。

介護サービス利用時に気になる料金も知っておこう

記事内で触れている介護サービスは介護保険が適用されるので、基本的には利用料金の1割を負担することになります。

ただし、一定の所得がある場合には、2割または3割の自己負担が必要です。

料金の具体的なイメージが持てるように、ここではいくつかの介護サービスの利用料金を見ていきましょう。

表の料金はすべて1割負担の金額となっているので、ご注意ください。

サービス内容 料金(1割負担時)
訪問介護
(ホームヘルプ)
身体介護 30分以上1時間未満 394円
1時間以上1時間半未満 575円
生活援助 20分以上45分未満 181円
45分以上 223円
通所介護
(デイサービス)
要介護1 645円
要介護2 761円
要介護3 883円
要介護4 1,003円
要介護5   1,124円
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
※従来型個室
要介護1   557円
要介護2   625円
要介護3   695円
要介護4   763円
要介護5   829円

上記の介護サービスを含め、すべての利用料金は厚生労働省のホームページで確認できます。

たくさんある介護サービスはそれぞれ料金が異なるため、気になる介護サービスがある場合には調べてみてください。

利用料金以外に必要な費用も把握しよう

介護サービスのな利用料金以外にも必要費用があります。

例えば、施設サービス費や居住費、日常生活費(おむつ代・食費など)です。

介護サービスを受けるには、介護サービス料金の他にも様々な費用がかかることを把握しておきましょう。

【補足】自宅での日常生活をサポートしてくれる介護サービス

補足の情報として、主に家族や周囲の人が介護をする際のサポートとなる介護サービスについてご説明します。

介護が必要な人の補助となる用具の購入やレンタルができるサービスについてです。

例えば、自宅にスロープを取り付ける、歩行を補助する杖を購入する、といったものになります。

レンタル・購入費用も他の介護サービスと同様に1割の自己負担です。

そして、一定の所得がある場合には2割~3割の負担となります。

福祉用具貸与(レンタル) 特定福祉用具販売
  • 特殊寝台および付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 手すり
  • スロープ
  • 車いすおよび付属品
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 移動用リフト
  • 徘徊感知機器
  • 自動排泄処理装置
  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部品

 

特定福祉用具販売は同一年度内で10万円までの上限が設定されています。

また、レンタル・購入できる種類は要介護度によって異なるため、詳しくは確認が必要です。

福祉用具のレンタル・購入は、自宅で少しずつ困難になってきた動作をサポートしてくれる役割があります。

利用者本人が快適に過ごせるとともに、家族がサポートする負担を減らせる介護サービスです。

【Q&A】介護サービスに関する疑問を解消

記事の最後に、これまで解説しきれなかった細かな疑問について見ていきます。

Q1.自己負担はどのくらいかかるの?

A.記事内でご紹介している介護サービスはすべて介護保険が利用できます。

そのため、自己負担は1割です。

ただし、一定額の所得がある場合には2割~3割の負担となります。

介護サービス費以外にかかる費用は介護保険の対象外となるので注意が必要です。

例えば、食費やおむつ代、理美容代、施設に入居した際の施設サービス費や居住費などは利用者の全額負担となります。

Q2.医療費控除の対象になるの?

A.医療費控除の対象になるものはあります。

対象の介護サービスは以下の通りです。

  • 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 指定介護療養型医療施設(療養型病床群等)
  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導(医師等による管理・指導)
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(医療機関でのデイサービス)
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護

対象となる条件や金額などは異なるため、詳しくは国税庁のホームページを確認してください。

Q3.介護サービス情報公表システムってなに?

A.介護サービス情報公表システムは厚生労働省が公開しているもので、全国の介護サービス事業所を検索できるシステムとなっています。

介護サービスや事業所、施設を比較・検討する際に便利です。

また、介護サービスの関連窓口を調べる際にも利用できます。

  • 介護事業所
  • 地域包括支援センター
  • 生活支援等サービス
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 認知症に関する相談窓口

一部キーワード入力などもありますが、基本的に選択形式で検索できます。

介護サービスを探したいときには利用してみてください。

まとめ

介護サービスにはたくさんの種類があります。

そのため、いざ利用しようと思ったらわかりにくい部分が多く、悩んでしまうこともあるでしょう。

本記事を参考に、まずは大まかな種類の把握から始めてください。

そして、介護サービスが必要になったら、何よりも先に要介護認定の申請をしましょう。

一連の流れの中で、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう際には、利用者本人や家族の希望をしっかり伝えること。

このことを覚えておけば、利用者も家族も笑顔で過ごせる介護サービスを受けられるでしょう。