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老後に向けて2000万円の資産形成が必要であると言われているなか、貯金がほとんどなくて不安に感じている人も多いようです。しかし、そのような人でもゆとりあるシニアライフを送る手立てはいくつかあるので、過度に不安に思う必要はありません。
この記事では、貯金なしの状態からでも安心して老後を過ごすための3つの方法を紹介します。参考にすれば、現時点で貯金がなくても、毎日を明るく過ごすことができるでしょう。
貯金なしで老後を迎えるとどうなる?
老後に向けて2000万円程度の貯蓄が必要という政府の提言がある一方で、実際には貯蓄がないまま老後を迎える人も一定数います。
万が一貯金がないまま老後を迎えてしまっても、65歳以降も働くなどの対処方法はありますが、老後破産のリスクを下げるには、やはり早いうちから準備をしておくことが大切です。
貯金なしで老後を迎える人は少なくない
令和2年の家計の金融行動に関する世論調査によると、60代で金融資産を保有していない人の割合は、単身世帯で29%、二人以上の世帯でも18%にのぼります。
老後の生活を維持するためには2000万円の貯えが必要であるという金融庁の報告などを受けて、金融資産を保有する人は増加したかと思われました。しかし、依然として一定数の人がまとまった金融資産を持たないまま、貯金なしに近い状態で老後に突入しているようです。
貯蓄なしで老後を迎えるとどうなる?
65歳になれば年金を受け取れるようになります。しかし、年金はぎりぎり生活できる程度の金額しかもらえない可能性もあり、生活するには不十分と感じる人も多いのではないでしょうか。
そうはいっても、年金で支出をまかないきれず老後破産をするわけにはいきません。そのため、定年後も働き続けるなどして生計を補っている人も多くいます。
老後も働くことは心身の健康維持の観点から必ずしも悪いことでありません。しかし、急病などで収入が尽きれば、たちまち生活が成り立たなくなる可能性もあります。やはり、早めに対策を打って、ゆとりのあるシニアライフを送れるようにしておくのがおすすめです。
老後に必要な支出額
現在の年金は、極限まで切り詰めれば何とか生活できる程度の金額しか支給されません。ゆとりあるシニアライフに向けて貯金や資金対策をすすめていくためには、まず、どの程度の金額が必要なのか、把握しておきましょう。
老後に必要な月々の生活費を目安に、いまからでも少しずつ対策していくのがおすすめです。
夫婦二人暮らしで公的年金以外に必要な金額の目安
生命保険文化センターの調査によると、夫婦二人で老後を生活していくうえで最低限必要と考える資金は月に約22万円、ゆとりある生活を送りたいなら約36万円という意見が多いです。
年金の給付金額の平均については、受給開始年齢や家族構成、給与水準によって大きく異なりますが、厚生労働省年金局が発表している、二人暮らしの年金給付額の目安は次のとおりです。
世帯別の年金給付額
世帯 | 年金給付額(月額) |
会社員+専業主婦 | 202,211円 |
共働き | 292,324円 |
出典:厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
※会社員は厚生年金と国民年金を受給し、専業主婦は国民年金のみ受給する場合で計算しています。
世帯別の年金給付額の平均額から、仮に必要最低限の暮らしでよいのであれば、共働きだった世帯は貯蓄なしでも年金だけで暮らしていける計算になります。一方で、専業主婦だった世帯は、月に約2万円程度は不足します。
また、ゆとりのある生活を送りたい人は、平均的に共働きでも月に約7万円、会社員+専業主婦だった世帯は月に約16万円不足する場合があるのです。
一人暮らしで公的年金以外に必要な金額の目安
厚生労働省の家計調査年報(家計収支編)によると、高齢単身無職世帯の消費支出は約14万円でした。ただし、この調査では住居費が18,364円と算出されており、賃貸にお住まいの人は、より多くの支出金額が必要になる点は理解しておきましょう。
こちらの数字をもとに、厚生労働省年金局の年金に関するデータを確認すると、会社員の場合は、単身の年金給付額は平均約14.6万円となっていました。
一方で、会社員以外の仕事をしてきた人や、年金の支払い期間が不足している人の場合は、これより少ない金額しか受給できません。
厚生労働省の家計調査年報(家計収支編)によると、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の実収入は約12.5万円、可処分所得は約11.3万円という調査結果になっているため、やはり一定数の人は支出が収入を上回ってしまうと考えられます。
老後資金の必要額は生活のレベルで異なる
ここまで紹介してきた支出の数値は、あくまで平均的な生活水準の支出であり、人によって月々の支出は異なります。
もともと節約志向でお金をあまり使わない人は、年金だけでも生活できるかもしれません。しかし、よりゆとりのある生活を求める人は、月の収入を高めるか、貯金をしておくなどの対策が必要になります。
自分の生活費をふまえたうえで、自分にとっての適正金額を把握しましょう。
貯金なしで老後生活を過ごす方法3選
シニアライフに向けた貯金がない人や、自身の生活費と年金受給金額をふまえて貯金が足りないと感じている人は、次のような対策をとるのも1つです。
- 65歳以降も働き続ける
- 年金の繰り下げ受給を活用する
- 生活費や固定費を見直す
これらの方法を組み合わせることで、貯金が足りなくてもゆとりあるシニアライフに近づくことができるでしょう。
65歳以降も働き続ける
厚生労働省の「高年齢者雇用の現状等について」を確認すると、2018年時点で65~69歳の人の約47%が働いており、この数値は近年上昇傾向にあります。定年後も働き続ける人は少なくないのです。
労働を継続することで、不足する生活費を補ったり、さらに年齢を重ねたあとに向けて貯金を増やしたりすることができます。また、頭や身体を働かせる時間帯が増え、社会とのつながりも維持できることから、心身の健康にもプラスに働きます。
年金の繰下げ受給を活用する
年金は現行の制度では基本的に65歳から受給可能です。しかし、年金の繰り下げ受給を活用し、受給開始年齢を引き上げると、月当りの支給される金額が増えます。
受給開始時期を1か月遅らせた場合の月当たりの増加率は、0.7%です。
たとえば、70歳までは働き続けて年金なしで暮らし、その後年金受給を開始すると、よりゆとりある生活が送れるのではないでしょうか。
生活費や固定費を見直す
生活費や固定費を根本から見直して支出を減らすことで、収支バランスを改善する方法もあります。支出を年金受給額以下に抑えられれば、生活していくことはできるでしょう。
スマートフォンを格安SIMに替えたり、インターネットなどの通信費を安いプランに契約しなおしたりと、固定費を減らせないか確認しましょう。
まとめ
貯金なしで老後を迎えると、生活資金が不足する可能性がありますが、前もって現状を知り、対策を進めておけば少しでも安心できるでしょう。
65歳以降も働き続けるのもよいですし、年金受給時期の調整なども有効です。また、人によっては支出を削ることができれば、年金だけで生活することも不可能ではありません。
老後生活に向けてお金の不安がある人は、今一度現状を整理して、無理のない範囲で対策を検討していきましょう。